ケニア・ナイロビにおける高度海外研究(島田 健太郎)

私は2014年の3月28日から3カ月間、博士論文で用いるデータおよび補足資料の収集を目的としてケニア・ナイロビに行きました。出発前の段階でいくつかの家計調査を入手していましたが、それぞれのデータで不足している情報を補うこと、もしくはより良いデータの入手を検討することが今回の目的でした。当初の予定では短期間の滞在を検討していましたが、本研究科からの凌霜賞の研究助成金を頂けたこともあって、予定より長い期間の滞在をすることになりました。

ナイロビ滞在中はケニヤッタ大学のFransisLikoye氏やアフリカ人口保健リサーチセンター(African Population Health Research Center:APHRC)のMoses博士らの協力を得て、必要な情報の入手可能性について検討を行いました。私の研究はケニアの社会において「教育機会の拡大が個人の上方社会移動を促してきたのかどうか」を実証的に検証することを目的としています。より精緻な結果を導くために、今回の渡航で入手できるか探っていた情報は、(1)個人の賃金データと(2)学校の情報の二つです。賃金データに関しては、国勢調査の際に情報自体は存在していたのですが、原則公開不可であり入手が難しく、その他の情報源とのマッチングも困難であることが明らかになりました。一方で、学校の情報については家計調査とのマッチングができそうな学校基本調査のデータを入手できました。必要としていた全情報を入手できた訳ではないですが、一部使えそうなものを手にいれることができました。

今回の滞在はゆとりがあるスケジュールであり、時間の許す限り他の研究・教育機関の訪問等を計画していましたが、治安の悪化が著しく行動範囲を制限する必要がありました。その点は少し心残りではありますが、その分じっくりとデータや文献に向き合い、研究計画を練る時間を持ち、行動できる範囲で様々な人と会い研究のインスピレーションを得られたことはよかったと思っています。

最後に、この度の渡航に際して、サポートをしてくださった小川啓一教授および現地での研究協力者の方々、そして、凌霜賞の研究助成を本高度海外研究に使用させていただけたことに感謝の意を表し、本レポートを締めくくりさせていただきます。

*写真:APHRCにてDr. Mosesとともに