開発運営政策セミナー「ポスト2015に向けた国際教育協力:国際機関の視点から」が開催されました

2014年6月16日(月)、本研究科棟大会議室にて、開発運営政策セミナーが本研究科と国際開発学会関西支部の共催で執り行われました。本セミナーでは、エドワード・ヴェレズ・ブスティロ博士(元世界銀行 教育セクター次長)とリナ・ベネート博士(ユネスコアジア太平洋地域教育局 教育政策専門家)のお二人をお招きし、「ポスト2015に向けた国際教育協力:国際機関の視点から」というテーマのもと、ご講演いただきました。討論者として、キム・“コービル”キソク博士(ソウル国立大学 名誉教授)と川口純博士(大阪大学 助教)もお招きし、司会は小川ゼミ博士課程後期に在籍しているジェジェ・オクルトさんが務められました。

140616DMP-2始めに、エドワード・ヴェレズ・ブスティロ博士より、「開発途上国における教育支援の新機軸−複雑なシナリオ−」と題してお話がありました。まず、現在の開発途上国が直面している様々な教育問題に関し統計やその図表を用い解説され、EFAやMDGsの阻害要因についても指摘されました。また世界銀行の視点、ご自身の視点に基づいた現在の教育協力の在り方について意見を論じられ、国際教育協力をより進展させるためには、これまで以上に各機関の調和が重要であると述べられました。

次に、リナ・ベネート博士より、「ポスト2015開発アジェンダ−グローバル時代の市民性教育−」についてお話がありました。これまでの教育協力の軌跡や今後の展望について、国際機関の視点より詳細な説明がなされました。これまでユネスコがEFAやMDGsの達成のためにどのように働きかけてきたか、また2015年以降の重点分野についてもお話がありました。続いて、国際的な市民性教育へと議論が移り、最後に現在のユネスコアジア太平洋地域教育局の取り組みについて述べられました。

79最後に、キム・“コービル”キソク博士より、各プレゼンテーションの総括とご自身の経験に基づいた意見が語られ、ブルキナファソにて取り組んでおられる職業訓練や識字教育などを事例とし、ノンフォーマル教育の重要性を説きました。次に川口純博士からは各講師に対し意見と質問が投じられ、より具体的なポスト2015の開発アジェンダに関する踏み込んだ議論が交わされました。エドワード・ヴェレズ・ブスティロ博士へは、異なるポリシー等を持つ国際機関が調和し共同することの難しさを述べた上で、ポスト2015の開発アジェンダにおける国際機関調和の見通しについて質問され、ベネート博士へは国際的な市民性教育に関して、その言葉の意味や定義がマクロレベル、ミクロレベルで異なっていることや国際的な市民性に関する児童の評価の必要性などについて述べられました。

国際教育協力におけるこれまでの足跡を今一度整理し、将来に向けたビジョンを論じた本セミナーは、同分野の枠を超え国際協力全般に関する見識を深める有意義な時間となりました。

(文責:神戸大学国際協力研究科博士前期課程2年 五島 由加里