1.はじめに

2012年9月5日から28日までの約1ヶ月、ウガンダ教育スポーツ省のEducation Planning and Policy Analysis Department内のMonitoring & Evaluation Divisionにてインターンをさせていただいた。この貴重な機会は、指導教官である小川啓一教授によって実現した。参加の動機としては、発展途上国の教育省の行政と教育現場への強い関心であった。本報告書は、インターンの概要と所感についてまとめている。

2.概要

インターンの主な内容としては、2012 Education and Sports Sector Review(ESSR)Field Visitの参加と、研究調査の2点であった。まず、1点目のセクター・レビューの参加では、ウガンダの西方に位置するセンバブレ地方に赴き、基礎教育の現状を調査した。調査対象は、公立小学校2校、私立小学校1校、公立・私立ともに中学校1校ずつ、職業訓練学校1校の計6校であった。調査内容としては、在籍数、出席数、教員数等の基礎情報の収集、学力テストの実施であった。自身の研究分野から小学校の調査に同行し、学力テストの実施に伴う、生徒のサンプリング、テストの概要説明、配布、監督、回収の一連の流れを担当した。続く、2点目の研究調査においては、カンパラ市役所協力の下、特別支援学校3校、インクルーシブ教育に力を入れている公立小学校3校、私立小学校1校の計7校に訪問し、校長、教師男女1名ずつの3名にインタビュー調査を行った。調査テーマは、障害のあるこどもたちの初等教育における就学阻害要因である。校長から、障害のあるこどもの在籍数、彼らの障害の種類、学校の設備等の情報を、教師から、特別支援教育に関する資格の有無、クラスレベルでの障害のあるこどもの人数、障害の種類、程度等の情報を、加えて両者にインクルーシブ教育の是非、その理由、障害のあるこどもたちの就学阻害要因についての意見を伺った。

3.所感

以上のインターンを通じての所感としては、データ収集の現実に対する失望と、現場を見ることの重要性への気づきが挙げられる。まず、セクター・レビューという教育スポーツ省の大規模調査への参加を通して、途上国におけるデータ収集のいい加減さを目の当たりにした。調査チームによっては、校長からの報告数を鵜呑みにし確認を怠ったり、決められた通りのサンプリングを行っていなかったりと、その正確性に大きなばらつきのあることが見て取れた。また、データのみ、報告書のみを見ていては、見落としてしまう現状のあることに気づかされたのも、セクター・レビューだった。同行していた教育スポーツ省の職員が、テストを実施した教室の板書から教師の教授法の未熟さを指摘したのだ。これは、実際に学校に赴いたからこそ気づけたことである。自身の研究調査においても、同様のことが言える。インクルーシブ教育を推進する政府の方針と、現場のギャップに驚くことはしばしばあり、教育環境を自身の目で見、現場の声に耳を傾けることの大切さを痛感した。

4.まとめ

本インターンシップは前述の通り、1か月未満の短いものではあったが、教育スポーツ省というその国の教育を計画、実施する機関において行われたことから、非常に恵まれた機会であった。また、省内にとどまらず、教育現場へ足を運び、現場の声を聞けたことで、得られたものは大きかった。指導教官の小川啓一教授を始めとして、教育スポーツ省の方々、調査先の校長、教員等関係各位には、感謝の念が耐えない。