開発運営政策セミナー「教育、葛藤、平和構築-紛争復興期の社会における教育の再考察-」

2014年10月23日(木)、神戸大学大学院国際協力研究科棟1階大会議室にて、開発運営政策セミナー、「教育、葛藤、平和構築-紛争復興期の社会における教育の再考察-」が、本研究科の主催で開催されました。本セミナーは、講師としてロンドン大学教育系大学院上級講師のフェラリ・テジェンドラ氏をお迎えしました。

IOEセミナーではまずフェラリ氏が、教育、紛争、平和構築に関連する様々な課題について、詳しく説明されました。この中では、教育に関する世界人権宣言第26条の内容と、教育の背景にある事柄を整理した後、教育の正と負の側面、教育と紛争の結びつきについて語られました。続いて、フェラリ氏はネパールにおける「人民戦争」とカンボジアにおける「クメール・ルージュ」が教育に及ぼした影響について説明した後、グローバル化や新自由主義、「新家産主義」(Neopatrimonialism)といった概念や、グローバル化と紛争の関係について詳細な解説をされました。

セミナーの最後にフェラリ氏は、紛争復興期の社会における平和への処方箋や、教育、紛争、平和構築分野の問題解決に向けた方法論的・概念的課題について共有されました。フェラリ氏はまた、セミナー全体のまとめとして、教育改革や、自由民主制・自由市場原理の限界、「平和」という概念、社会・政治的意識醸成にむけた教育と市場経済に資する教育の乖離といった問題に対するご自身の見解について述べられました。

多くの示唆に富んだ興味深い発表に引き続いて行われた質疑応答の時間には、セミナーに参加していた大学院生から、教育と紛争の関係や教育の平和構築に果たす役割についてより深く理解しようとする質問が多数投げかけられました。本セミナーは、特に紛争復興期における教育と紛争、平和構築分野に関する知識を広げ、深める大変貴重な機会となりました。

(文責:博士課程後期課程2年 坂上 勝基

関連リンク:
http://www.kobe-u.ac.jp/NEWS/event/2014_10_23_01.html