ラオスにおける高度海外研究(竹谷 麻莉子)

2014年10月11日から11月10日まで、ラオス人民民主共和国、ルアンパバーン県とヴィエンチャン首都において、主に少数民族の教育状況や課題について、データや文献資料の収集、関係者への質問紙調査や聞き取りを行いました。本高度海外研究では、少数民族の子どもたちと教員、保護者の方々に、教育観や少数民族の子どもたちが抱える問題について調査し、今後の研究内容を深めることを目的としていました。

taketani2今回の調査では、ルアンパバーン県市内から車で6時間程のヴィエンカム郡の、カム族とモン族の子どもが多い小学校、それぞれ4校と2校を訪問しました。そこで、小学5年生の児童に、学校教育について、その重要性や家での勉強について等、質問紙調査を実施しました。その結果、「自分の教養のため」と「将来のため」に、学校での勉強は重要だと考えている子どもたちが多く、これは、保護者への聞き取りで、学校へ行かせている保護者の意見と一致していました。特に、小学校を卒業していない、または行ったことがない保護者の多くは、「自分たちのようにならないように」勉強させ、将来をよくしてほしいという理由から学校に通わせている家庭がほとんどでした。一方で、教員が指摘した、子どもたちが抱える問題として最も多かったものは「留年」で、教員によると、特に、教授言語であるラオス語と子どもたちの母語が異なることが一つの要因だと考えられるとのことです。小学5年生になっても、ラオス語の読み書きが難しい子どもが多いことも見受けられました。また、地理的要因から、焼き畑を主な生業としていること、そして出稼ぎに出ている家庭が多いことも、学習環境に影響し、留年、そして退学へと繋がってしまうことも指摘されました。さらに、家庭内で「ラオス語が分からない」と子どもが訴えていることもあり、一緒にラオス語を練習する家庭もあれば、宿題や学校の勉強に無関心な家庭もあり、家庭により、子どもの学習への関心や参加が異なることが分かりました。

taketani3今回の滞在中には、前職である公益社団法人シャンティ国際ボランティア会ラオス事務所がヴィエンカム郡で実施する活動にも、オブザーバーとして参加する機会をいただきました。同僚の方々と、研究者の立場として、ヴィエンカム郡からラオス全体、そして少数民族の教育状況まで広くお話しさせていただき、改めて、人々の生活に添った研究をしたいと強く思いました。

最後に、今回このような貴重な機会をくださいました小川啓一教授に、改めて深く感謝申し上げます。また、ラオス全体の教育資料を入手するにあたり、教育スポーツ省計画局、教育管理情報システム(Education Management Information System: EMIS)センターの、Sysmphone氏と、調整に協力いただきましたKhanpasith氏に御礼申し上げます。そして、ヴィエンカム郡教育事務所所長Talakone氏と副所長Sontalath氏、公益社団法人シャンティ国際ボランティア会ラオス事務所所長、加瀬貴氏、また、調査に同行してくださった郡教育事務所のSenchanh氏と、通訳、調整に尽力してくださったLatsamy氏に、心より感謝申し上げます。

博士後期課程
竹谷 麻莉子