FHI360でのインターンシップ(高橋香名)

私はダブルディグリー制度にてイーストアングリア大学留学中にコースワークを全て終えた後、夏の修士論文執筆期間を使って、ワシントンDCにある国際NGO、FHI360にて2015年6月と7月の2カ月間インターンをさせて頂きました。FHI360で所属したEducation Policy Data Center (EPDC) という教育リサーチ部門での体験を共有させて頂きます。

インターンシップ前にした準備
当初はコースで勉強したインパクト評価を実務で経験できること、現場でデータを自分で収集し修士論文の材料としたいとの思いでインターンシップを探していました。しかし色々挑戦してみたものの上手くいかず、指導教員の小川啓一先生にご相談し、FHI360でインターンをしてみてはどうかと助言を頂き、英語の履歴書を提出しました。思いがけず直ぐに返事を頂き、留学中に書いたエッセイとSTATAのdo-fileをライティングサンプルとして送り、インタビューをした後、インターンシップが決まりました。

インターンシップの内容
主に3つのプロジェクトを担当しました。まず、120カ国の全国学力調査の情報をインターネットから拾い集め、データベースを作りました。このデータベースはEPDCが独自に発信しているもので、リテラシー・算数などドメインを6つに分類し、現時点で「どこ」で「なに」が測定されているのかをマッピングしました。もう1人のインターンと協力しながら毎日ノルマを立て、あと○○国!と励まし合ってやり遂げたことは今となっては良い思い出です。2つ目は、Global Partnership for Education (GPE) から請け負ったプロジェクトで、GPEパートナー60か国の学力調査を更に詳しくまとめるというものです。上記のデータベースをもとに、各国の教育省ウェブサイトや世界銀行がリードするSABERから、インターネット上で公開されている情報とそうでないもののギャップをマーキングしました。3つ目は、EPDCが管理している世界各地の教育データベースの更新作業でした。国際的な全国家計調査であるDHSとMICSから教育に関するデータを抜き出す作業です。慣れるまでは、質問票から教育年数や教育レベルが問われている項目を見つけて、STATAでデータを抽出するまでに、とても苦労しました。

KT3 学び得たこと
アメリカの開発コンサルタントが、どうやって仕事をするのか、その一連の仕事の流れ(プロポーザル作成、発注者との交渉、現地でのインタビューやサーベイの実施、データ回収・分析、レポート執筆)を間近で観察できたことは、私にとって大きな学びでした。また、インターンシップ実施中に、小川先生とFHI360が共同調査プロジェクトをUNICEFから競争入札され、プロジェクトを自分で取ってくるには、専門性だけでなく現地でのネットワークが鍵となることを肌で学びました。それと同時に、開発の世界における日本人としての強みについても考える機会となりました。「現地カウンターパートと対等で信頼できる関係性を築く力」「ゴールの定まったプロジェクトを遂行する力」に関しては、自信を持って発揮していけるのではないかと感じました。また、週末には小川先生がジョージワシントン大学の大学院で修士・博士課程の学生を対象に「Education and the Economy from International Perspectives」をテーマに実施された講義を聴講させて頂く機会にも恵まれ、とても幸運でした。ワシントンDC滞在中、小川先生そして世界銀行本部等に勤務されているゼミの先輩方にとてもお世話になり、今後のキャリアを歩む上で勇気を頂きました。ホームステイを引き受けてくださり、また世界銀行スタッフ向けのワークショップにも参加出来るようアレンジくださり、いつでも相談にのってくださった荘所真理氏、お忙しい中お時間を作ってくださり、美味しいお料理とともに修士論文やキャリアについてたくさんのアドバイスをくださった野村真作氏、野村美穂氏、お仕事の内容について教えてくださった田中伸幸氏、そして様々なご縁を頂いた方々に感謝の気持ちでいっぱいです。

最後に、このインターンシップを全面にサポートし励ましてくださった指導教員の小川啓一教授、FHI360でのスーパーバイザーとして公私にわたって暖かな指導をくださったCarina Omoeva博士、本プログラムに係るロジスティック全般を担当して下さったRebecca Potts氏、EPDCチーム、そしてお世話になりましたFHI360のスタッフの方々に、心からの謝意を持って、ご報告とさせて頂きます。

(文責:博士課程前期課程2年 高橋香名