ピッツバーグ大学における高度海外研究報告 (坂上 勝基)

2013年8月26日~12月14日までの約3か月半、ピッツバーグ大学大学院教育研究科(School of Education)の国際教育研究所(IISE: Institute for International Studies in Education)で行政・政策研究(Administrative & Policy Studies)専攻のJohn Weidman教授の指導のもと、高度海外研究(以下、海外研究)させていただきました。以下、その報告をさせていただきます。

海外研究の期間中はIISEの客員院生研究員として、大きく分けて以下にあげる4種類の活動をさせていただきました。1つ目はIISEの研究環境を活用し無償化政策下のウガンダの初等教育に関する博士論文のための自身の研究を進めること、2つ目はIISEシンポジウムシリーズに参加すること、3つ目はIISEをはじめとするピッツバーグ大学の研究機関が関わるプロジェクトに参画すること、4つ目は行政・政策研究専攻が提供する講義の聴講等を通して国際教育開発に関する知識や分析スキルを身に付けることです。

Umeno-san2 1つ目の活動に関しては、博士課程の院生が研究プロポーザルを準備しながら博士論文の研究の進め方について学ぶWeidman教授による講義を聴講しながら進めました。この過程でピッツバーグ大学の図書館のデーターベースを活用できたこと、文献管理ソフトの活用法や米国における治験審査委員会(IRB: Institutional Review Board)の手続きの実際等を学んだこと、講師や博士課程の院生から研究計画に対するアドバイスやコメントを得たことは、研究の高度化に大きく役立ちました。

2つ目の活動に関しては、月に1度のペースで開催されるシンポジウムやブラウンバッグミーティングに毎回参加し、11月19日のシンポジウムでは報告者自らもウガンダの初等教育における学習到達度の地域間格差に関する研究成果発表を行いました。これらの活動は、英語でのプレゼンテーションやディベートのスキルを向上させることにも役立ちました。

3つ目の活動に関しては、ケニアの初等教育無償化政策に関するWeidman教授が携わる研究プロジェクトへの参画が実現しました。また国際研究大学センター(UCIS: University Center for International Studies)の中にあるアフリカ研究プログラムが主催する様々なイベントに参加するなど、同プログラムの研究・アウトリーチ活動にも積極的に参加しました。

4つ目の活動に関しては、行政・政策研究専攻が提供する教育の定量的研究手法に関する講義を聴講しながら、ウガンダの家計調査のデータを用いた分析を進めることが出来ました。博士論文において2次データの本格的分析を行うことを予定している報告者にとって、教育研究における事例の解説に特化した応用計量経済学の体系的な講義を受けることができたことは、研究の高度化に大変役立ちました。また定性的研究手法を専門とする学生の研究計画発表を聞く機会もあり、国際教育開発分野全般に対する視野を大きく広げることが出来ました。

今回、博士課程後期課程の1年次でこのような海外研究を実施することが出来たことで、米国の研究・教育環境を経験した上で、博士課程修了時に自身がどのレベルに達する必要があるのかについて目標設定を改めて行うことが出来ました。また、今後報告者が研究者として、また実務者として成長していくために必要な基盤や米国における貴重なネットワークを、今回の海外研究を通して築くことが出来たと考えています。

末筆になりますが、今回の海外研究実施を後押し支えてくださった指導教官の小川啓一教授、スーパバイザーとして海外研究の全期間を通じて暖かな指導をして下さったJohn Weidman教授、客員院生研究員としての受け入れを認めて下さったIISE所長のW. James Jacob教授、本プログラムに係る事務手続きやロジスティック全般を担当して下さったWei Tang氏、そして公私にわたる様々な面で報告者の海外研究生活を支えて下さったIISEの全てスタッフの方々に、心からの謝意を表したいと思います。

博士課程後期課程1年
坂上勝基