国際協力の分野において日本だけを見ていると就職がとても狭き門になってしまいますが、グローバルな視野で就職を考えると未知の世界が広がっています。是非、小川ゼミにて「高度な専門性」と「実務的な応用スキル」をしっかり身につけて世界で通用する教育開発の専門家になりませんか。

小川ゼミ(開発運営論演習)では、研究機関をはじめ、国際援助機関や二国間援助機関で途上国の教育開発支援に携わる人材を育成しています。在学生は査読付きの国際ジャーナルに研究論文を出版したり、Comparative International Education Societyの国際大会(毎年北米で開催)やWorld Congress of Comparative Educationの世界大会などでも頻繁に研究論文を発表しています。また、積極的に海外実習やインターンシップに参加して、開発途上国や国際援助機関での実務経験を身に付けています。

小川ゼミ生の多くが国際援助機関での就職を希望しており、実際に多くの修了生や在学生が世界銀行やユネスコ、ユニセフなどに就職しています。例えば、世界銀行では近年、常時5名前後もの小川ゼミ修了生と在学生が働いており、欧米の教育系大学院トップスクールにひけをとらないくらい、多くの修了生を国際援助機関に輩出しています。

私自身、米国コロンビア大学大学院やジョージワシントン大学大学院、ラオス国立大学経済系学部、マラウイ大学で客員教授の経験があり、それらアカデミックな経験と、世界銀行で教育エコノミストとして開発途上国の教育支援に携わったプラクティカルな経験、この両方をゼミでの指導に反映させています。例えば、経済学や統計学を比較教育学や教育開発論の研究に応用できる高いスキルを身につけることができます。さらに、小川ゼミは全て英語で行っており、教育開発や教育経済、教育政策に関する専門性の他に、英語で文章を書くスキル、英語で議論するスキルを身に付けることもできます。ゼミ生全員が博士論文や修士論文を英語で作成して、研究成果の国際ジャーナルへの投稿や、国際学会での発表、国際援助機関への就職の際にサンプルペーパーとして活用しています。

国際援助機関では、高い専門性の他に、フィールドでの実務経験が高く評価されます。私自身、本神戸大学に在籍をしながらJICAイエメン女子教育向上プロジェクトやJICA課題別集団研修、JICAイエメン上級官僚研修、文部科学省の国際協力イニシアティブ拠点構築事業「国際協力イニシアティブ」(対象事例国:ケニア、ガーナ、マラウイ、ウガンダ)などの教育協力プロジェクトも実施してきましたので、ゼミ生にはこれらのプロジェクトの活動にも積極的に参加してもらい、ゼミで身に付けた専門性を実務で応用できる機会を提供しています。

本国際協力研究科は、多くの教育開発系のインターンシップ先と学術協定を結んでおり、ユネスコ・バンコク事務所、イエメン教育省、ウガンダ教育スポーツ省、マラウイ大学教育研究訓練センター、教育開発アカデミー(米国)といったインターン先があります。さらに、小川ゼミ生はこれまで、世界銀行本部(米国)や国際連合本部(米国)、米州開発銀行本部(米国)、ユネスコ・バンコク事務所、ユネスコ統計研究所(カナダ)、ユニセフのインド事務所、ラオス事務所、バングラディシュ事務所、イエメン事務所、ウガンダ事務所、そしてJICAの本部や現地事務所などでインターンシップを行ってきました。

また、本神戸大学大学院国際協力研究科は、ロンドン大学(英国)、サセックス大学(英国)、イーストアングリア大学(英国)、ピッツバーグ大学(米国)、ワシントン大学(米国)、カイロ大学(エジプト)、ソウル国立大学(韓国)などと学術協定を結んでおり、博士課程前期の学生はダブルディグリーを取得することができます。小川ゼミの博士課程前期には、サセックス大学大学院に留学している学生がおり、また、ソウル国立大学やロンドン大学の大学院にて研究を行う博士課程後期の大学院生もいます。博士課程後期に関しては本研究科のサンドイッチ・プログラムとして本研究科と海外の提携校とで研究を遂行することにより、より優れた博士論文を作成することを目標としています。下記のリンクとご参照ください
http://www.edu.kobe-u.ac.jp/gsics-doubledegree

社会人の受験生の方に

小川ゼミでは、社会人の方を積極的に受け入れています。社会人の方がゼミを受講されている学期には、ゼミ(開発運営論演習)を夕方から夜に実施するなど、勤務と研究活動の両立が可能なよう、様々な工夫をしています。これまでに小川ゼミの博士課程前期では、大学研究機関や、県教育員会、世界銀行にフルタイムで勤務をしながら修士号を2年で取得された社会人の修了生がいます。また、博士課程後期には、世界銀行やユネスコ、国際協力機構(JICA)、民間コンサルタント会社などで働きながら博士論文を作成した方がいます。現在では、小川ゼミの博士課程後期の大学院生の多くは、フルタイムで働きながら博士論文を作成しています。勤務先の例を挙げると、世界銀行、ユネスコ、ユニセフ、JICA研究所、JICA現地事務所(JICA専門家)、広島大学、豊橋科学技術大学、マッカレー大学、ウガンダ教育スポーツ省、ウガンダ総理府などの機関です。このように、小川ゼミでは、社会人の方々も国内外で勤務を続けながら、研究やスキルアップに存分に取り組んでいただけます。

ゼミの講義内容(開発運営論演習)
博士課程前期に在学される1年生には、下記の内容のゼミを実施しています。

前期(4月~7月):受講生は、講義の前に下記の本を読んで各章のサマリーを英語で作成してゼミに参加します。ゼミでは、抜き打ちで受講生を指名し、各章についての論点を英語で説明してもらい、その内容について全員でディスカッションを行います。短期間に大量の英語文章を読む力、またそれを要約する力、さらに英語でのディスカッションの能力の上達を目指します。その他、英語の履歴書の作成や修士論文のプロポーサル作成指導を行っています。

  • World Bank, Priorities and Strategies for Education: A World Bank Review, World Bank,Washington, DC, 1995.
  • Burnet, N. and H. Patrinos, “Priorities and Strategies for Education: A World Bank Review: The Process and The Key Messages”, International Journal of Educational Development, 16(3), pp. 215-220, 1996.
  • Samoff, J., “Which Priorities and Strategies for Education?” International Journal of Educational Development, 16(3), pp.249-271, 1996.■ Lauglo, J., “Banking on Education and The Uses of Research: A Critique of World Bank Priorities and Strategies for Education”, International Journal of Educational Development,16(3), pp.221-233, 1996.
  • Burnett, N. and Patrinos, H. A., “Response to Critique of Priorities and Strategies for Education: A World Bank Review”, International Journal of Educational Development, 16(3) pp.273-276, 1996.■ World Bank, Education Strategy 2020, World Bank Publication: Washington, DC, 2011.
  • Bray, T. M, Adamson, B, Mason, M. B., Comparative Education Research: Approaches and Methods, Hong Kong and Dordrecht: CERC and Springer, 2007.

後期(10月~1月):後期のゼミでは教育統計について学びます。受講生には、統計学と計量経済学の講義を事前に(または同時に)必修で受講してもらい、その知識を基に、統計学を教育に応用できるスキルを身につけてもらいます。受講生には事前にアサインメントを各自でやってきてもらい、ゼミで発表をしてもらいます。別途、必要に応じて、ティーチング・アシスタントによるセッションも設けていますので、受講者全員が教育問題について定量的手法を使って分析できるようになることを目指します。この他、修士論文の作成指導を行います。

  • 小川啓一, 野村真作『教育統計学【基礎編】-「万人のための教育」に向けた理論と実践的ツール-』学文社, 1-245頁, 2009.