開発運営政策セミナー「技術開発における分析的枠組みと南アジアにおけるプロジェクト-幼児教育から職業技術に焦点をあててー」
2016年8月10日(水)、神戸大学大学院国際協力研究科棟1...
2024年4月12日、インドネシアAirlangga大学経済・ビジネス学部のYessi Rahmawati助教授がリスクマネジメントセミナー(及びJASID関西セミナー)で講演を行いました。本研究は、Yessi Rahmawati助教と小川啓一教授による共同研究であり、兵庫県フェローシップの後援を受けております。
本研究会でYessi Rahmawati助教授は、「インドネシアの東ジャワ州における環境要因、技術的なアクセス、公共安全、および公共衛生に与える影響」と題した研究成果の発表を行いました。はじめに、都市と農村地域の都市緑地(以下、USG)の不均等性、疾病件数の著しい増加、東ジャワ州における普遍的な医療制度の不足といった背景が本研究を実施する契機となっていることを説明しました。その後、瞬間法分位回帰分析(MMQR)という量的手法を用いた分析の結果、より優れたインターネット接続が病気の頻度を低下させることに関して統計的に有意な差があることを明らかにしました。
本研究はUSGが健康に正の影響を及ぼすことを検証した一方で、USGが精神的および身体的な健康、環境ストレスの軽減、社会的利益の向上と繋がっていることを主張しました。また、犯罪率と健康状態の負の相関関係についても示した上で、犯罪が、薬物乱用や高まっていく不安、恐怖、地域社会の不快感を含む消極的な健康結果をもたらすことについても言及しました。さらに、GDPと健康状態との間には正の相関があることを示し、経済的繁栄が医療インフラへの投資、栄養食品へのアクセス、外部ショックに対する抵抗力を向上させ、国民の幸福を促進できるという点を示唆されました。
最後に、質疑応答では国内・外の大学院生や専門家、研究者など様々な背景を持つ方々による活発な議論が交わされました。本研究会はインドネシアを事例とする新しい硏究分野への理解を深めることができた大変貴重な機会となりました。
※Yessi Rahmawatti助教授は兵庫海外研究ネットワーク(HORN:Hyogo Overseas Research Network)事業からの助成を受け、神戸大学国際協力研究科の小川啓一教授との共同研究を実施しました。
文責: Jiling Yao(博士課程前期課程)