ユネスコ・バンコク地域事務所における研修プログラム報告(小池拓実)

 2025年5月26日から12月31日にかけて、タイ・バンコクに所在するユネスコ・バンコク地域事務所(UNESCO Regional Office in Bangkok)において、Khan Faryal博士(Programme Specialist for Education)のご指導のもと、研修プログラムを実施しました。ユネスコ研修プログラム制度は、文部科学省(日本ユネスコ国内委員会)とユネスコが令和6年度からユネスコ活動の活性化を目指し、実施されているプログラムです。本プログラム期間中は、(1) 「持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development: ESD)」、(2) 「地球市民教育(Global Citizenship Education: GCED)」、(3) アジア太平洋地域における学習評価ネットワーク運営、の三つの領域を中心に、関連業務に取り組みました。これらの実務を通じて、アジア太平洋地域における教育政策の形成・実施プロセスを多面的に理解することができました。

 まず、ESD関連業務では、主にESD Country Initiative(ESD for 2030)の運営に取り組みました。ここでは、SDGsターゲット4.7の達成に向けた加盟国支援の枠組みに関し、各国の政策文書や実施計画の整理、進捗状況に関する情報収集および基礎分析を担当しました。加盟国から提出された報告書を精査し、共通課題や優良事例を整理した資料作成を補助するとともに、内部会議や加盟国とのオンライン協議に向けた資料準備、議事録作成、関係部署との連絡調整などに携わりました。これらの経験を通じて、国際的な教育目標が各国政策へ翻訳・実装されていく具体的プロセスへの理解を深めることができました。

 次に、GCED関連業務では、Asia-Pacific Regional GCED Networkの運営支援として、加盟機関との連絡調整、会議アジェンダ案の作成補助、発表資料の取りまとめなどを行いました。特に年次会議においては、登壇者との事前調整、参加者管理、当日の進行補助など、国際会議運営の一連の実務を経験しました。また、GCED Webinar Seriesの企画・実施補助として、テーマ検討、登壇候補者との調整、広報文案作成支援、技術運営補助を担当しました。さらに、GCED教師ガイドの出版業務では、原稿整理、参考文献確認、英文校正補助に関わり、教育実践者向け教材が完成に至るまでのプロセスを実務レベルで学ぶことができました。

 最後に、アジア太平洋地域における学習評価ネットワーク運営に関連する業務では、2025年8月に開催されたNetwork on Education Quality Monitoring in the Asia-Pacific(NEQMAP)の年次会議に向け、準備および当日の運営補助を担当し、発表資料の整理、参加者との連絡調整、会議記録の作成などを行いました。また、アジア太平洋地域における学習評価の先進事例をまとめた出版物について、各国ケーススタディ原稿の整理、論理構成の確認、英文表現の調整などを担当しました。これにより、各国の評価制度改革や学力調査の設計・活用に関する実務的知見を体系的に理解することができました。

 今回のインターンシップを通じて、ESD、GCED、学習評価という相互に関連する分野において、政策調整、ネットワーク運営、知見の整理・発信に関わる実務経験を得ることができました。また、国際機関における多主体協働の重要性や、地域レベルでの政策対話の意義を実感する貴重な機会となりました。

 最後に、本インターンシップの機会を賜り、ご指導くださいましたKhan Faryal博士に心より感謝申し上げます。また、受入れに際して多大なるご支援を賜りましたユネスコ・バンコク事務所の皆様、ならびに、本研修プログラムの実施を財政的に支援して下さった公益財団法人日本国際教育支援協会、神戸大学グローバルネットワークプログラムにもこの場をお借りして感謝申し上げます。さらに、日頃より研究活動をご指導くださっている小川啓一教授に改めて深く御礼申し上げます。

文責:小池拓実(博士後期課程)