ユニセフ赤道ギニア事務所のクーリカン・マリアナ氏のセミナーが開催されました
2015年7月7日(火)、神戸大学大学院国際協力研究科棟1階...
2025年10月27日から2026年4月27日までの6か月間、ジンバブエの首都ハラレにあるユネスコ・南部アフリカ地域事務所(UNESCO Regional Office for Southern Africa: UNESCO ROSA)にて研修プログラムを実施しました。ユネスコ研修プログラムは、文部科学省(日本ユネスコ国内委員会)とユネスコが共同で実施しているプログラムであり、ユネスコ活動への理解促進、国際機関職員をはじめとするグローバル人材の育成、ユネスコ活動を通じた地域活性化等を目的としています。ユニツイン/ユネスコチェアに認定されている大学の学生は、所属大学からの推薦を経て、ユネスコ本部や地域事務所において半年から一年間の研修を受けることができます。
私が研修を行ったUNESCO ROSAは、ボツワナ、エスワティニ、レソト、マラウィ、モザンビーク、ナミビア、南アフリカ、ザンビア、ジンバブエの合計9か国を統括する事務所で、教育、文化、自然科学、コミュニケーションと情報などに関するプロジェクトを各国で行っています。その中でも私は、自然科学セクターの防災プロジェクトチームに配属されましたが、事務所のご厚意で教育セクターのプロジェクトにも参加する機会をいただきました。
本研修では主に (1) 自然科学セクター業務、 (2) 教育セクター業務、 (3)事務所全体の業務に携わり、ユネスコにおける業務の進め方や南部アフリカ地域の実情について理解を深めました。
(1) 自然科学セクターの業務サポート
ジンバブエは気候変動の影響を強く受け、近年はサイクロンや干ばつによる被害が頻発しています。UNESCO ROSAでは、ジンバブエとモザンビークにおける洪水早期警戒システムプロジェクトを実施しており、効果的な洪水リスク評価、早期警報システムなどを通して地域社会の脆弱性を軽減することを目指しています。本プロジェクトに関連し、ジンバブエにおける過去30年間のサイクロンおよび干ばつの被害について情報を収集・整理し、被害状況や被害額の傾向が分かるようにまとめました。また、南部アフリカ地域事務所の自然科学セクターがジンバブエで実施した過去の活動に関するレポート約10本を整理し、文字情報が多い内容を視覚的に分かりやすい形にまとめ直しました。この作業を通じて、これまでの活動内容を把握するとともに、外部関係者への情報共有の際に伝わりやすい資料の構成や見せ方について学びました。
さらに、ザンビア・リビングストンで2026年3月に開催されたAfriMABに関する業務サポートも行いました。AfriMABとは、ユネスコの「人間と生物圏(Man and the Biosphere: MAB)」計画のアフリカ地域ネットワークに関する国際会議で、アフリカ各国の専門家や政策関係者約200名が参加しました。本業務では、招待者およびプレゼンターの候補者の検討段階から関わり、リストの作成や関係者との連絡調整を行いました。参加可否が直前まで確定しないケースが多く、調整には難しさがありましたが、多様な関係者が関わる国際会議における連絡方法や調整の進め方について実践的に学ぶことができました。上記業務に加えて、レジリエンス強化や生物多様性、水資源の確保など、自然科学や防災に関する複数の会議にも参加しました。これらの場では、各省庁や国際機関の代表者・担当者が一堂に会し、意見交換や情報共有が行われました。参加を通じて、各機関の役割や任務、協働の仕方について理解を深めることができました。
(2)教育セクターの業務サポート
教育セクターでは、Education for Health and Wellbeingの一環として、サブサハラ・アフリカのすべての若者が、健康・教育・ジェンダー平等の面でポジティブな成果を得られることを目指す「Our Rights, Our Lives, Our Future(O3)」プログラムを2018年から実施しています。2023年にフェーズ1が終了し、現在はフェーズ2を実施中です。このプログラムのモニタリングおよび評価の一環として、DHSおよびMICS等のデータを用い、アフリカ27か国における15歳から24歳の若者の健康・教育・ジェンダー平等に関する9つの指標について過去および最新のデータを収集しました。各国の状況を比較できるようデータを統一フォーマットにまとめ、報告書掲載のために各国の進捗状況を文章にまとめました。その結果、プロジェクトの成果が十分に現れていない国が明らかになり、今後のプロジェクト運営の方針を検討するための資料として活用されました。加えて、女子生徒向けSTEM教育促進プロジェクトでは、南アフリカで行われたイベント運営のサポートを行い、大臣やゲストスピーカー宛ての招待状の作成や、資料のレビューを行いました。また、政府関係者や地元企業とのミーティングにも参加し、UNESCO ROSAが教育プロジェクトをどのように進め、政府や地元企業とどのように協働しているのか、実務面での理解を深めました。
(3)事務所全体の業務サポート
2月にユネスコ本部コミュニケーション・情報セクターの事務局長補が活動視察のためにジンバブエを訪問された際には、在ジンバブエ日本国大使とジンバブエICT大臣への表敬訪問に随行する機会にも恵まれました。これにより、国際機関と日本政府との関係性だけでなく、国際機関と現地省庁との関係構築の一端を間近で見ることができました。加えて、Staff Associationの業務サポートにも関わり、職員間の交流を目的としたイベントの準備を担当しました。準備中はセクターを越えて同僚たちと関わり、今まで話したことのなかった同僚とも自然にコミュニケーションを取ることができるようになったことで、普段の業務も円滑に進めやすくなり、日常のコミュニケーションや関係性構築の重要性を改めて感じました。
本インターンシップを通じて、国際機関における実務経験に加え、多様な立場の方々とのお話から多くの学びを得ることもできました。週末には他の国際機関で勤務されている日本人職員の方々、在ジンバブエ日本国大使館の職員の方々、JICA青年海外協力隊の方々とお話しする機会をいただきました。こうした機会を通じて、各機関の役割や業務内容、キャリアパスについて具体的に理解を深めることができ、今後の進路を考える上で非常に重要な時間となりました。
また、青年海外協力隊の報告会にも参加させていただき、草の根レベルで活動されている方々の貴重なお話を伺うことができました。ユネスコでの業務は、主に政府関係者など政策レベルの方々との関わりが中心でした。また、UNESCO ROSAは複数国を統括する地域事務所であるため、ジンバブエに滞在していながらも、ジンバブエに特化した草の根レベルの現状を十分に把握できていないという葛藤がありました。しかし、協力隊員の方々との関わりを通じて、地域社会の実情や現場で直面している課題について具体的な理解を深めることができ、ジンバブエに対するより広い視野を得ることができました。
末筆ながら、このように貴重な機会を提供してくださったUNESCO ROSA事務所代表のMartiale ZEBAZE KANA博士をはじめとするUNESCO ROSAの皆様、本プログラムへの応募から参加までを後押ししてくださった小川啓一教授、本インターンシップを支援してくださった全ての方々に心より感謝申し上げます。
文責:渡部美代子(博士前期課程)