「グローバルな開発課題と世界銀行の役割」(世界銀行 今村英章氏・井上景子氏・大森功一氏)

2024年6月20日、神戸大学国際協力研究科にて、世界銀行本部 日本代表理事の今村英章氏、世界銀行本部 南アジア地域総局教育プラクティス・マネジャーの井上景子氏、世界銀行 東京事務所 上級対外関係担当官の大森功一氏をお招きし、キャンパスアジア・リスクマネジメントセミナーを開催いたしました。

本セミナーでは、まず、今村理事がご登壇され、SDGsの17の目標の達成状況に触れながら、「極度の貧困を撲滅し、『繁栄の共有』を促進する」という目標のもと、世界銀行が財政的支援を必要とする途上国と財政市場とをどのように繋いでいるのか説明をされました。また、世界銀行の被援助国であった日本が重要なドナー国の一つとなった歴史に触れる一方、世界銀行における日本人職員の占める割合が低いことに対して危惧を示されました。

 

次に井上氏がご登壇され、「Why invest in people?」というテーマのもと、どのような子ども達に投資する必要があるのか、なぜ南アジアを支援することが重要なのか、なぜ教育に投資しなければならないのかということについて、人的資本の観点から論じられました。その際、経済開発の推進力としての人的資本開発の影響力を強調されるとともに、自分自身の人生に投資することの重要性を説かれました。

 

 最後に大森氏がご登壇され、YPP (Young Professional Program) やJoint Japan/WB Graduate Scholarship Program (JJ/WBGSP)など、世界銀行が提供する入行の機会をご紹介いただきました。参加学生へのメッセージとして、自身の経歴がTerms of Reference (ToR) に合致せずとも、早い段階でどのような募集があるのか、どのようなスキルが求められるのかを把握することの大切さを強調されました。

 

 質疑応答では、開発協力における世界銀行の中立的な立場のあり方や、限りある資源の中での教育の量と質の両立の難しさ、魅力的なCurriculum Vitae (CV)の書き方について活発な議論が展開されました。国際社会における世界銀行の役割について知見を深め、世界銀行の職員として国際社会に貢献する将来を見据えることができた大変貴重な機会となりました。この場をお借りして、ご多忙のなか本セミナーを実施してくださった今村理事、井上氏、大森氏、そしてこのような貴重な機会を提供してくださった小川啓一教授に心より拝謝申し上げます。

文責:柴田菜摘(博士後期課程)