ソウル国立大学のキム・ギソク名誉教授が本学国際協力研究科で研究活動を始められました
ソウル国立大学のキム・ギソク(コビル)教授が2014年4月1...
2025年1月から2025年2月にかけて、パリにあるUNESCO International Institute for Educational Planning(IIEP)のTechnical Cooperation Team Leadである水野谷優博士のご指導のもと、インターンシップを実施しました。インターンシップ期間中には、以下の2つの業務に携わりました。(1)3月にシカゴで開催予定のComparative & International Education Society(CIES)におけるUNESCO IIEPのパネルディスカッションに向けたデータ分析・資料作成、(2)非認知能力に関する書籍の出版準備のための文献調査・資料作成です。これらの活動を通じて、UNESCO IIEPの役割について理解を深めるとともに、教育経済学分野におけるデータ分析の能力を向上させることができました。
まず、パネルディスカッションに向けた業務では、マラウィを対象に、教育の公平性と気候変動の関連性について分析を行いました。具体的には、UNESCO IIEPがマラウィ教育省から取得した学習達成度に関するデータ、Educational Management Information System (EMIS) データ、PISAやPASECなどの国際的な学習到達度調査データを用い、教育の公平性を示すジニ係数やTheil指標を算出しました。また、UNESCO IIEPが開発した自然災害指標を用いて、マラウィで頻繁に発生する自然災害が教育の公平性に与える影響を分析しました。これらの分析は、ペンシルバニア大学が主導し、UNESCO IIEPがパートナーとして参画するLeaning Equity Initiativeの一環として実施されました。インターンシップ期間中には、ペンシルバニア大学の教授とのミーティングにも同席し、プロジェクトの進捗や分析結果について意見交換を行いました。この過程を通じて、教育の公平性に関するデータ分析の理解を深めるとともに、分析結果をわかりやすく伝えるためにはグラフや地図の視覚的表現が重要であることを痛感しました。また、自身がインターンとして関与した分析成果がUNESCO IIEPの発表内容として国際学会で紹介されることにも喜びを感じました。さらに、本業務を通じて、仕事に対する姿勢や責任感について考える貴重な機会も得ることができました。
次に、非認知能力に関する書籍の出版準備では、毎週、指定されたテーマに沿って非認知能力に関する文献や記事を読み、それを要約する業務を担当しました。その過程で、先行研究や学術的な議論にとどまらず、実際に世界や日本の教育現場で行われている取り組みについても調査するなど、政策的な視点を養うことができました。
上述のように、本インターンシップを通じて、UNESCO IIEPの役割や教育経済学に関する理解を深めることができただけでなく、発見に対して常に「なぜ?」と疑問を持ち続けることの重要性や、国際機関での働き方についても水野谷博士から学ぶことができました。また、インターンシップの活動報告のために行われたミーティングでは、私が行った分析内容の確認や分析手法に関するご指導だけでなく、これから国際機関でのキャリア構築を目指す上で重要となる貴重なお話を伺うこともできました。
最後になりましたが、本インターンシップを受け入れ、貴重な成長の機会をくださった水野谷優博士に深くお礼申し上げます。また、インターンシップ実施に際しご支援いただき、パリ滞在中にはネットワーク構築の機会を提供してくださった小川啓一教授にも心より感謝申し上げます。
文責:横川野彩(博士前期課程2年)