第二回国際ハイブリット学会がダッカ大学(バングラデシュ)にて開催されました。
2023年2月14日から15日にかけて、第二回国際ハイブリッ...
2025年1月7日、小川ゼミの修了生であり、現在世界銀行の上級教育スペシャリストとして活躍されている荘所真理博士が、「アフリカの教育システム構築における世界銀行の役割」をテーマに講義を行いました。荘所博士は、初等・中等教育、幼児教育、人材育成、スキル開発に焦点を当てた融資および分析活動に携わっており、今回の講義でもその豊富な知見や経験が共有されました。講義の冒頭、荘所博士は、世界銀行がその全ポートフォリオ(728億ドル)のうち5%を教育分野に割り当てられており、教育は経済発展と人材育成において重要な投資と位置づけられていることを説明しました。一方で、学校への通学率の向上や若者人口の増加にもかかわらず、教育の質が十分に改善されていない深刻な危機があることも指摘されました。
この学習危機に対応するため、世界銀行は学習環境の改善に注力しており、具体的には、気候変動に対応した環境に優しい学校づくりや地域コミュニティとの連携を進めるとともに、教員制度の改革を推進し、教師のアカウンタビリティ向上や動機づけの強化を図る政策を講じていることを説明されました。また、近年では、教育技術(EdTech)の活用にも力を入れ、テクノロジーを通じて学習環境の質を向上させる取り組みが推進されていることも紹介されました。
次に、荘所博士は、女子教育の重要性を強調し、教育へのアクセスと継続を支援するために、インフラ整備、経済的支援、衛生環境の改善にも取り組んでいることを強調しました。また、教育と労働市場のニーズを結びつける施策にも注力し、学生たちがソフトスキルや地域特有のスキルを習得できるよう支援や、学校にも職業にも就いていない若者(NEET)の課題に対処するための取り組みの重要性について説明されました。講義の終盤には、自身の世界銀行での経験をもとに、紛争や不安定な状況下にあるスーダン、シエラレオネ、スリランカのような地域では、運営上のリスクが伴うものの、国連機関との連携することで教育、保健、社会保障の分野における進展を維持する努力が行われているということを説明されました。
講義の最後は質疑応答で締めくくられ、グローバルな環境で働くために必要なスキルや、小川ゼミ/GSICSの強み、そして国際機関で生き抜く方法について、荘所博士から学びました。本講義を通して、教育が人的資本に与える重要性や、アフリカで実施されているプロジェクトの具体例など、様々な視点から世界銀行の役割に関して理解を深めることができました。さらに、荘所博士は、これまでの15年以上にわたる経験を踏まえ、現代の課題に効果的に対応するためには、継続的な学びと新たな知識の習得が不可欠であると強調されました。
ご多忙の中、ご講演をいただいた荘所博士、そして本セミナーの開催に尽力された小川啓一教授およびグローバルネットワークプログラム関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。
文責: 宇野耕平(博士後期課程)