姫路飾西高校の学生が神戸大学 国際協力研究科へ訪問しました
2022年8月26日(金)に兵庫県立姫路飾西高校の学生が英語...
私は2014年8月4日から10月3日まで、ウガンダ共和国総理府のモニタリング評価局にて9週間のインターンシップを実施しました。このインターンシップを通しての私の主な活動は、政府年次業績報告書(GAPR: The Government Annual Performance Report)の作成補助と調査研究の2点です。以下に報告いたします。
総理府モニタリング評価局にて教育セクター担当の上司のもと、総理府教育セクター年次業績報告書の作成補助を行いました。私は最初にウガンダの教育システムの各教育段階における教育機会、教育の質、及び内部効率性に関する指標の検討を行い、それらのデータの傾向分析をおこないました。この機会は今まで本研究科で学んできた教育統計学の知識が政策文書へとどのようにつながるのか実践的に学ぶ貴重な経験となりました。
調査研究では、「ウガンダの初等教育低学年における生徒の母語と学校での教授言語が生徒の読解力へ及ぼす影響」を主題にインタビュー調査、学校訪問、及び2次データの分析を行いました。インタビュー調査の目的は自身の研究の関心と実際の教育現場の状況を照らし合わせ、教育現場の現状と課題を整理することでした。インタビューでは主にウガンダ教育スポーツ省の就学前教育・初等教育局局長、ウガンダ国家試験庁(UNEB: Uganda National Examinations Board)、ウガンダ教員組合(UNATU: Uganda National Teachers Union)、及びRTI Internationalの実施する衛生・読書教育プログラム(SHRP: School Health and Reading Program)事務所を訪問しました。これらのインタビューを通し、ウガンダの学校教育では1つの教室の中に複数の言語集団が混在しているため、教師が教授に使用する言語や教材の言語が必ずしも生徒の母語と一致しないとのことが明らかになりました。私はこの課題がどのように生徒の読解力に影響を与えているのか関心を抱き、その後の研究課題の中核としました。
次に、私はSHRPの対象校への調査に同行させていただきました。本プログラムは初等教育低学年における生徒の読解力の向上とその後の教育段階での保険行動の改善を目的として2012年に始まり、2017年まで実施される予定です。私の同行した調査は生徒の読解力向上に向けた取り組みのうち、教師に対する学校長や地域からの支援の改善を目的としていました。私はRTI Internationalの職員の方と共に首都カンパラ近郊のワキソ県と東部のカタクウィ県の小学校を訪問しました。訪問先では最初に学校長と教師に対する質問表を用いたインタビュー調査を行い、その日の授業計画を確認しました。次に授業観察を行い、その内容に基づいて学校長と教師へのフィードバックを行いました。この訪問を通し、一部の学校では学校が指定する教授言語と教師の母語に相違が見受けられ、それが原因で教師が自信をもって授業を実施できていない等の問題点が観察されました。
上記の活動以外は、SHRPが実施する初等教育低学年の生徒の読解力評価(EGRA: Early Grade Reading Assessment)のうち、2013年に集められたベースラインデータの分析を行いました。この分析結果を念頭においた上で学校訪問をした経験は分析結果を解釈する際に非常に役に立ちました。
昨年ウガンダ教育スポーツ省で実施したインターンシップと比較すると、この度のインターンシップではより実践的に調査研究手法を学ぶことができました。特に、SHRPの調査に同行した際には、RTI Internationalの専門家の方々から質問表を用いたインタビュー調査の実施やプログラム自体の運営などの方法について多くのことを学びました。EGRAをウガンダの最前線でリードするRTI Internationalの活動を組織の内側から学ぶことができたことは、非常に貴重な経験となりました。
インターンを通してどのように変わったか。
末筆ではありますが、この様な素晴らしい機会を提供していただいた小川啓一教授、Byamgisha Albert博士をはじめとするウガンダ総理府の皆様、及びこの度ご支援していただいたすべての方々に心より御礼申し上げます。