1. はじめに

私の参加したインターン実習は、8月6日から31日までの4週間、人間開発部基礎教育第1課において行われ、『基礎教育分野における JICA の協力についての理解を深める』ことを目的としていた。実習の動機は2点あり、教育分野で国際協力をしたいという将来の希望と、国際協力の現場への興味であった。本報告書は、実習内容を項目に分け、その項目ごとに概要を述べ、その後実習を通しての所感について述べていく。

  1. 実習項目

実習は、大きく分けて①案件実務、②リサーチ補助、③セクター情報収集、④タスク活動への参加の4点からなる。以下、実習の概要にて、その詳細を述べていく。

  1. 実習概要

上記の実習項目に従い、実習の概要を説明する。

①     案件実務

案件実務では、「ネパールの小学校運営改善プロジェクト」に関わらせていただいた。具体的な内容としては、資料校正途中に欠落した図表の復元、帰国報告会への参加とその議事録作成、ある報告書の一部和訳を行った。

②     リサーチ補助

リサーチ補助においては、Numeracy獲得のためのプロジェクトに関する情報を収集・整理し、それと関連して、EGMA(Early Grade Mathematics Assessment)の概略、EGMA実施における各国報告書の整理を行った。

③     セクター情報収集

セクター情報収集としては、ガーナの初中等教育の基礎情報を収集・整理した。ガーナの教育制度、戦略計画、教育の質・アクセス・内部効率性に着目し、国際数学・理科教育調査TIMSSのテスト結果の推移に関しても調査した。

④     タスク活動への参加

参加させていただいたタスク活動は、インクルーシブ教育、官民連携、ECD(Early Childhood Development)に関するものだった。まず1点目は、インクルーシブ教育関連の勉強会の資料を統合し、体裁を整える作業だった。2点目に関しては、官民連携報告書に記載されている略語を表にまとめ、正式名称と和訳を作成した。3点目は、世銀のレポートからECDの実施意義についての情報を抽出・整理するものだった。

 

  1. 実習所感

以上のような実習を通し、4週間で多くのことを学び感じた。第1,2週の実習では、タスクに幅広く関わらせていただくことで、視野の広がり、興味・関心の深まりを感じたが、第3,4週の実習では、一つのタスクにおいて各国を横断的に見る機会が得られた。また、本実習により、案件形成の現場を垣間見る機会を得、国際協力のアクターとしてのJICAの立ち位置への理解が深まった。JICAでは、職員のみならず、インハウスコンサルタント、専門家、等様々な立場の方々がプロフェッショナルとして国際協力を行っている。報告会においては、しばしば専門家の方々の地域・課題に対する専門的な意見と、職員の方々の全体間に立った俯瞰的な意見とが相互に補完し合って議論が進められていく様子が伺え、案件形成の現場を垣間見た思いがした。また、実習課題のブリーフィングや作業を通して、教育分野におけるJICAの強みが教員研修、理数科教育等にあること、またそれらの重要性に気付かせていただいた。

今後の課題としては、文章作成能力を中心とした日本語・英語のブラッシュアップがまず挙げられる。加えて、フランス語圏アフリカ諸国における開発の遅れから、改めてフランス語習得による可能性の広がりを感じ、フランス語学習に力を注ぐことを決意した。統計の知識、教育開発に関する知識に関しても、大学院でより一層丁寧に勉強していこうと思う。

しかし、最大の収穫は、このような基礎教育グループの方々と机を並べて実習させていただけたことであり、その姿勢から多くのことを学ばせていただいた。最終報告会においては、温かいフィードバックをいただけてとても嬉しかったと同時に、国際協力の仕事の面白みを教えていただき、大変に勉強になった。様々に悩み苦しんだ濃い4週間ではあったが、過ぎてみれば短く、実習終了後には一抹の寂しさが過ぎった。しかし、それですべてが終わりなのではなく、実習で学ばせていただいたことを今後に活かし、教育分野で国際協力するという夢を叶えることが、お世話になった方々への恩返しであると信じている。

  1. おわりに

このように、本実習を通して得られたものは大きく、夢の舞台である国際協力の現場を体験するという、自身にとってかけがえのない経験となった。末筆ながら、実習先は指導教官である小川啓一教授と非常に関わりが深く、様々な場面で教授の存在感を感じ、またそれに助けられ、非常に有り難い思いがした。本実習に関わる全ての方に感謝しつつ、本実習総合報告書を終わりとする。