ラオス教育スポーツ省におけるインターンシップ報告(柴田 菜摘)

2023年7月17日から8月11日までの約1か月間、ラオス教育スポーツ省(以下、教育省)にてDr. Bounpanhのもとインターンシップを実施しました。以下、その報告をさせていただきます。

私は教育省の計画局に配属され、Mr. Anouphengのご指導を頂きながらラオスの幼児教育に関する調査を行い、具体的に以下の活動に従事しました。1点目に、世界銀行による幼児教育プロジェクト(GPEⅢ LEAP: Global Partnership for Education Ⅲ Learning and Equity Acceleration Project in Lao PDR)のワークショップへの参加、2点目に、幼稚園訪問による教員、保護者、園児へのインタビュー調査を行いました。

1点目の活動では、教育省の各局によるプロジェクト進捗報告を拝聴し、GPEⅢ LEAPの概要、プロジェクトの進行状況と課題、今後の計画と予算配分について学びました。具体的には、プロジェクト遂行の中枢を担う教育省計画局と他の部局との連携においてどのような工夫がなされ、改善の余地が残っているのかを複数の部局の視点から理解を深めました。6日間のワークショップを通して、プロジェクトの目的に対して各局が共通理解を持つことの重要性と、数年間にわたるプロジェクトにおいて発生しうるリスクとそれへの対処法を学ぶことができました。

2点目の活動では、初等教育就学前の幼児の就学レディネスと保護者による幼児教育への関与に焦点を当てたインタビュー調査を実施しました。具体的には、ヴィエンチャン都の全9区のうち8区を回り、1区あたり1校の公私立の幼稚園を訪問し、幼稚園児と保護者それぞれ16人、教員8人に対してインタビュー調査を行いました。インタビュー調査に先立ち、保護者の家計特性を把握するための質問紙調査も実施しました。教育省計画局の職員の方々や教育政策アドバイザーの方、評価局の職員の方から助言を頂きながら、現地調査を遂行するための綿密な計画の立て方や調査対象者が持つ独自のストーリーを聞き出すための質問項目の設け方について学ぶことができました。

本インターンシップは、教育省や教育機関が幼児教育のアクセスと質を高めるためにどのような取り組みを行っているのか、不利な状況に置かれている子どもたちに質の高い幼児教育を提供するために今後どのような政策を講じるべきなのかを学ぶことができました。また、国際協力研究科での講義を通じて学んだことを現地調査に応用し、先行研究や公的文書からは知り得なかった、幼児、保護者、教員目線の意見を得ることができました。本インターンシップで得た知見を修士論文へ反映させていきたいと思います。

末筆になりますが、ラオス教育スポーツ省でのインターンシップを快く受け入れてくださったDr. Bounpanh、調査実施のために多大なるご支援をくださったMr. Anoupheng、教育省計画局ECUチームの皆様、そしてこのような貴重な機会を提供してくださった指導教員の小川啓一教授、その他調査にご協力頂いたすべての方々にこの場をお借りして拝謝申し上げます。

文責:柴田菜摘(博士課程前期課程2年)