2017年度の国際教育開発フォーラムが名古屋大学で開催されました
2017年11月3日(金)と4日(土)、2017年度の国際教...
2014年7月16日~10月10日の約3か月間(87日間)、ウガンダ総理府(Office of the Prime Minister: OPM)においてインターンシップをさせていただきました。以下、その報告をさせていただきます。
インターンシップの期間中はモニタリング評価局に所属し、以下に挙げる3種類の活動をさせていただきました。1つ目は、OPMの教育専門家が実施している政策研究の補助、2つ目はOPMや国際援助機関が実施する教育プロジェクトの企画、運営、評価等のプロセスに関する様々な業務の実務補助、3つ目はウガンダ共和国の教育データベースを活用した教育政策・プログラムの分析・評価の実施と報告書の作成です。
一つ目の活動として、所属していたモニタリング評価局の主要な活動の一つである政府年次業績報告書(Government Annual Performance Report: GAPR)の2013・2014年度版作成に向けた教育セクター分析の補助を行いました。この中では、モニタリング評価局の教育専門官による分析に必要な二次データ収集、関連する文書のレビューを担当し、全てのサブセクターの過去5年間における業績の傾向分析、GAPRにおいて強調される政策課題の抽出を行いました。GAPRにおいて指摘された政策課題は2014年11月に実施される内閣によるリトリートにおける議論の対象となり、2013・2014年度版GAPRはOPMのHP (http://www.opm.go.ug/)にも掲載予定です。
二つ目の活動としては、米国の国際NGOである「RTI International」による米国国際開発庁(United States Agency for International Development: USAID)のプロジェクト「Uganda School Health and Reading Program(SHRP)」が実施するプロジェクト評価活動に、実務補助として関わる機会をいただきました。具体的には、ワキソ県において行われた小学校での「Support Supervision」に同行し、県教育事務所(District Education Office: DEO)で行われた報告会での議論に参加しました。
三つ目の活動としては、ウガンダの初等教育無償化政策下における私的教育支出の問題に関する自らの博士論文執筆に必要な情報やデータの一次・二次データ収集を行い、暫定的分析結果をまとめた報告書を作成しました。具体的にはまず、教育スポーツ省(Ministry of Education and Sports: MoES)の研究テーマに関連する部署の政府高官や、開発援助機関によるウガンダにおける主要な教育開発プロジェクトを実施する専門官へのインタビューを行いました。MoESでは基礎・中等教育総局長のYusuf. K. Nsubuga氏、就学前・初等教育局長のDaniel Nkaada氏らへのインタビューが実現し、ウガンダ国家試験庁(Uganda National Examination Board: UNEB)では、上級統計官のOmala Saint Kizito氏らへのインタビューも行いました。
開発援助機関としては、世界銀行ウガンダ事務所の上級教育専門官であられるInnocent Mulindwa Njjumba氏、RTI Internationalのモニタリング評価部部長のTracy Brunette氏、独立行政法人国際協力機構ウガンダ事務所の後呂依希氏をはじめ、多くの第一線でご活躍されている専門家から貴重な研究テーマについての知見をいただくことができました。またウガンダ教職員組合(Uganda National Teacher’s Union: UNATU)も訪ね、スタッフへのインタビューも行いました。
二次データ収集では、MoESの教育管理情報システム(Education Management Information System: EMIS)から教育の供給側である学校の特徴に関するデータを取得し、生徒の学業成績に関するデータとしては、UNEBから学校レベルでの初等教育修了試験(Primary Leaving Exam: PLE)の成績に関するデータを取得しました。さらに、こうした二次データ収集、分析に加え、スーパーバイザ―の指導のもと標本抽出した公立小学校10校、私立小学校10校を対象としたフィールドワークによる一次データの収集も行いました。本調査では各校で校長、教員2名、学校運営委員会(School Management Committee: SMC)の会員1名に対して、主に学校財政と各ステークホルダーの学校財政に関する意識について尋ねる半構造化インタビューを実施し、2次データでは捉えることのできない多くの貴重な情報やデータを収集することができました。
今回のインターンシップは、首都カンパラにあるOPMを拠点としてのGAPRのための傾向分析、博士論文執筆に必要なデータや情報の収集に加え、フィールドでの実務経験や調査実施の機会を豊富に与えていただいたことを通して、開発社会調査に欠かせない多くの実践的な知識やスキルを学べたことが大きな収穫でした。特にSHRPのプロジェクト評価活動への同行を通じて、プロフェッショナルなプロジェクト実施業務を経験し、加えて教員が用いる授業案の確認や、詳細な授業観察を通し、ウガンダの教授・学習過程の実際を目にすることができたことは、今後の自身の研究を深める上でも大変重要な経験であったと考えます。また研究補助者に同行していただいてのフィールドワークは、調査の認可を得るためのレター作成を含む社会調査実施に必要な一連の過程を経験し、限られた予算と時間の中で効率的にデータを収集するためのポイントについて学ぶ、大変貴重な経験をさせていただきました。
末筆になりますが、このような素晴らしい機会を提供してくださった指導教官の小川啓一教授、そしてインターンとしての受け入れを認めインターンシップの全期間を通じて暖かい支援をしてくださったモニタリング評価局局長のAlbert Byamugisha氏にまず、感謝の意を表したいと思います。また、上級エコノミストのRechard Kabagambe-Tureebe氏をはじめとするOPM・モニタリング評価局の全てのスタッフ、公私にわたる多大な支援を提供いただいたマケレレ大学講師のJames Wokadala氏、本研究科博士課程後期課程在籍のJeje Moses Okurut氏、研究補助者として調査に同行いただいたDisan Mwijukye氏、Ocitti David Okech氏、Charles Onyango氏、Robert Masaba氏、その他貴重な時間を提供し調査にご協力いただいた全ての方々に、心からの謝意を表したいと思います。
博士課程後期課程2年 坂上勝基