米国ピッツバーグ大学のワイドマン・ジョン教授のセミナーが開催されました

2015年10月6日に神戸大学大学院国際協力研究科棟1階大会議室にて、開発運営政策セミナー「国際教育開発の概念化-セクター・ワイドな改革と教員養成のグローバル化-」が開催されました。本セミナーでは米国ピッツバーグ大学教育系大学院のワイドマン・ジョン教授を講師としてお招きし、本議題について講義していただき、小川啓一教授が司会を務められました。本講義には約25名の留学生を含む学生が参加し、1時間の講義と引き続き行われた1時間の質疑応答を通して、教育改革におけるセクター・ワイド・アプローチと教員養成のグローバル化について理解を深めました。

IMG_3525_zemiワイドマン教授はまずモンゴルの教育改革に関するプロジェクトの経験をもとに、セクター・ワイド・アプローチにおけるドナー協調の問題ついて説明されました。ワイドマン教授によると、モンゴルはアジア開発銀行の教育改革に関するプロジェクトの実施にあたってセクター・ワイド・アプローチを取り入れました。その結果、ドナーがモンゴルの教育システムや文化を理解していない、ドナーや国内のコンサルタントなどのステークホルダー間の仲介業務をモンゴル政府が担うこととなる等の問題が発生し、モンゴル政府は複雑化した状況に対応せざるを得なくなりました。

次に、ワイドマン教授は教育のグローバル化について教員養成を事例に説明されました。ワイドマン教授によると、近年のグローバル化により経済的・政治的・社会的・教育学的要因が教育政策に複雑に影響しています。教員養成においても、経済学的にはコスト回収、政治的には地方分権化などグローバル化により台頭した概念の影響を受けることとなりました。教員養成そのものもグローバル化の影響を受けていることから、教員養成プログラムを計画するにあたり多様な概念や問題について考察することが重要となりました。

セミナー終了後、参加者からセクター・ワイド・アプローチやモンゴルの教育、そして教員養成について多くの質問が寄せられました。ワイドマン教授はこれらの質問に丁寧に答えてくださり、参加者一同はより深い理解を得ることができました。

(文責:博士課程前期課程在籍 白石 希望

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