ラオス教育スポーツ省におけるインターンシップ報告(野口 雅哉)
2018年9月10日から9月24日までの2週間、ラオス教育ス...
2015年10月5日(月)に、神戸大学大学院国際協力研究科棟1階大会議室にて開発運営政策セミナー「カンボジアにおける教育と経済発展」が開催されました。本セミナーでは、カンボジア王国教育ユース・スポーツ省のチュオン・ナロン・ハン大臣を講師としてお迎えしました。本セミナーは、カンボジア王国教育ユース・スポーツ省の行政官をはじめ、兵庫県立大学、上智大学、本学の教授、来日中の米国ピッツバーグ大学教授、兵庫県立大学、京都大学、大阪大学の学生といった、様々な機関からの参加者を得ました。
本セミナーに先立ち、四本健二国際協力研究科長が開会の辞を述べられました。また、四本研究科長は、本セミナーの参加者(特に学生たち)に対して、「学習の成功は教室で講義を受けることを通じてのみではなく、こうしたセミナーや関連するその他のイベントへの参加を通じて実務者に接し、生きた学習経験を積むことによっても得られる」と言葉を送られました。そして、日本とカンボジア王国との間はもちろん、国際協力研究科とカンボジア王国教育ユース・スポーツ省の間の協力と連携の印として、ハン大臣より記念品が四本研究科長に贈呈されました。本セミナーでは、小川啓一教授が司会を務められました。
本セミナーにおいて、ハン大臣はまず、初期の段階から現代までのカンボジア王国の教育の歴史と概要について説明されました。大臣はまた、異なる時代に対応しておこったカンボジアの教育における重要な変化と改革について強調され、中でもフランスによる植民地時代や内戦、特に多くの知識階級が虐殺された1975年から1979年までの内戦の影響について言及されました。またハン大臣は、内戦を抜け出した後、ゼロから出発しなければならなかった段階で、経済発展を後押しする中核的な要素の一つが教育であったことを説明されました。
ハン大臣は、成人識字率と就学率の目覚ましい改善と並行して、多くの尽力によりカンボジアの経済が着実に成長していることについて述べられました。経済が改善し成長しているにも関わらず、中等教育の低い就学率、退学率の上昇そして低い修了率が、いくつかの課題の中でも特に問題であると強調されました。そしてハン大臣は、学生の学齢超過、衣料品工場で働くために学校を離れる高い傾向、学校までの距離の遠さ、そして貧困といったプッシュ・プル要因によって、これらが生じていると説明されました。
次にハン大臣は、カンボジア王国の経済について紹介されました。その中で、カンボジアのGDPへ貢献している4つの重要分野として、農業、観光業、建設業そして衣料品輸出について言及されました。これらの分野は他と比べ各段に労働集約型の産業で必要なスキルが求められています。ハン大臣はこのことが、カンボジア経済が労働市場におけるスキルの不一致(ミスマッチ)という問題を作り出したと説明されました。この課題に対して、ハン大臣は現在行われている政策改革の経過(2014—2015)と優先政策スキーム(2016-2018)について考察をされた上で、達成されるべき目的を規定されました。更に、国の全体的な成長を促進するために必要不可欠である、社会科学と自然科学の統合の必要性を強調されました。
最後にハン大臣は参加者に対し、「貧しい国がある一方、豊かな国があるというように、なぜそれぞれの国に違いがあるか」について、じっくりと考えるように促されました。また、ハン大臣は、経済発展に対応した教育制度の進化の必要性とともに、教育と日常生活の活動をより関連させることで、教育の価値に関する人々の見方を変える必要性について指摘されました。質疑応答の時間では、参加者は、教育とその社会経済的発展の促進における役割についてさらに理解を深める目的で、質問を投げかけたり、自身の見解について述べる機会が与えられました。この場をお借りしまして、講師のチュオン・ナロン・ハン大臣、そしてこのような機会を設けてくださった小川啓一教授に深くお礼申し上げます。
文責:博士課程後期課程1年 Sokpanya PHON
訳:博士課程前期課程1年 岡本栄雄
関連リンク:
http://www.kobe-u.ac.jp/NEWS/event/2015_10_05_01.html