ワシントンDCでの海外実習報告(西原梨緒)

私西原梨緒は、8月6日から13日にかけて本国際協力研究科の小川啓一教授が米国ワシントンDCで実施された海外実習「国際援助機関の人的資源開発支援に関する調査」に参加いたしました。本実習は世界銀行本部、米州開発銀行本部、国際通貨基金本部、米国開発開発庁、ジョージワシントン大学、FHI360などの国際援助機関、大学やNGOを訪問し、専門家の方々へのインタビュー調査を行い、それぞれの機関で開催されるセミナーへの参加を通じて人的資源開発の理解を深めることを目的としています。

ワシントンDCという多様な援助機関や名門大学、政府機関に囲まれた最高の立地で実習を行うことは、本来の目的にとどまらず、米国の首都の雰囲気を肌で感じ、日本では見ることのない顕著な経済格差や多様な人種を目の当たりにし、驚きと刺激の連続で人生経験を豊かにさせてくれました。その中でも、本実習で大きく学んだ点を二点ご報告いたします。

IMG_1397まず一点目は、ネットワークを自らのコミュニケーション力で広めていくことの難しさです。国際機関への入り口は、他の民間企業のような一般的な就職活動のそれとは異なります。今回の実習のような内部で働く方々との貴重な接触を通じ、インターンシップの募集や今後求められる職員のスキル・経験を積極的に尋ね、自らのやる気や今後の方向性を訴えていくことで、自分自身を「売る」アクションが非常に重要となります。日本で生活する上ではこういった積極性よりむしろ協調性が重要視されるため、日本人学生はどうしてもこのアピールの工程が比較的苦手な傾向にあります。私自身もこの積極性が欠けているため、専門家の方々のご経験や他の学生の姿勢を目の当たりにし、今後自分がどうやって自分自身を「売って」いくべきか大変参考になりました。また、GSICSの先輩がどういったきっかけや経験を踏まえて現在のご活躍に至ったかを直に伺うことで、今まで雲の上の存在でしかなかった国際機関への道が、少し具体的に描けるようになりました。

二点目は、幅広く知識を身につけておくことの重要性です。無論、最終的には学生それぞれが違ったテーマで修士論文を提出するのですが、広い視野と幅広い知識を持つことで自身の研究に深みを持たせることができます。更に、国際社会で生きていく上でも知識を豊富に身に着けておくことが、前述のネットワークの拡充や円滑な人間関係を築く上でとても重要だと実感しました。例えば、多文化環境の中で仕事をする際でも、ひとつでも多くの国の言語、食べ物、地理、踊りや歴史などを知っておくと会話の幅がぐっと広がります。今回の実習でも、アメリカ、中国、ブラジル、ネパール、パキスタン、インド、バングラデシュなど様々な国の方々とお話しをする機会がありました。皆さんそれぞれ専門分野が違っていても私の研究テーマに関する相談に親身にのってくださったのに対し、私から違う分野に対する意見を求められるとあまりに知識が浅いことにはっきりと気づきました。文字におこすと当然のことのようですが、本実習の外部性でもある多文化交流をとおしての刺激が、また日々の勉学・読書に精進しようと自らを奮い立たせるきっかけにもなりました。

最後に本実習中に実感したこととして、今年の4月に博士課程前期(修士課程)に入って間もなく、研究・知識・経験・将来の目標などすべてにおいてまだ漠然としている私たち学生が、このような素晴らしい機会を与えられたことは他でもない、小川啓一教授のお計らいとご支援に他なりません。この場をお借りしてお礼申しあげます。また、夏季休暇中やご多忙の中私たちに貴重なお時間を割いてくださった上記の国際機関、大学機関、国際NGOでご勤務されている西江真理氏、宮島智美博士、James Williams博士、Casey Wilson氏、Vinay Bhargava博士、Jude Hui氏、Mabruk Kabir氏には心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

(文責:博士課程前期課程一年 西原梨緒