ラオス教育・スポーツ省におけるインターンシップ報告(武富 千尋)

2026年8月24日から9月11日の約3週間、Anoupheng Keovongsa副局長のご指導のもと、ラオス教育・スポーツ省でのインターンシップに参加しました。本インターンシップは、キャンパスアジア・プラス・プログラム2026年ラオス国立大学短期研修の一環として実施されたものです。

インターンシップ期間中は、教育・スポーツ省の各部局の職員へのインタビューや、国際機関・開発援助機関の活動についての聞き取り、公立学校への訪問などを行いました。これらの活動を通して、政府、国際機関、学校教員、生徒といった異なる立場から教育課題を捉えることで、教育政策の方針と教育現場における実施状況について調査しました。

まず、教育・スポーツ省では、一般教育局や高等教育局など、複数の部局の職員の方々へのインタビューを実施しました。また、教育政策文書や統計資料の収集・分析を通じて、政府の教育政策における重点事項や政策実施上の課題について調査しました。政策文書の内容と担当者の方々から伺ったお話を照らし合わせることで、文書だけでは把握しきれない政策の背景や実施上の課題について理解を深めることができました。この調査から、教育政策の実態を理解するためには、公式文書だけではなく、政府関係者の認識や取り組みについても把握する必要があることを学びました

また、首都・ビエンチャンの初等・中等教育の現場に足を運び、学校施設や授業環境を視察するとともに、校長や教員への聞き取りを通じて、学校が直面する教育上の課題について調査しました。学校訪問では、理科の実験教材の不足や、数学・化学の教員不足など、教育現場が直面する様々な課題についてのお話を伺いました。また、教員不足から学校で十分な指導を受けられないために、生徒がYouTubeなどのオンライン教材を活用して学習している状況についても聞き取り調査から明らかになりました。こうした状況から、教育政策で掲げられた目標を学校現場で実現するためには、依然として多様な課題が残されていることが分かりました。この経験によって、教育政策を評価する際には、政策の内容や実施状況だけでなく、それらが生徒の学習環境や学習機会にどのように関わっているのかまで考慮することの重要性について再認識することができました。

さらに、世界銀行、アジア開発銀行、UNICEF、JICAなどの国際機関・開発援助機関の担当者へのインタビューを通じて、ラオスの教育開発における各機関の役割や支援のあり方について理解を深めました。特に、それぞれの機関が異なる役割や優先課題を持ちながら、政府と協力して教育開発に取り組んでいることを学びました。これらの経験から、教育課題の解決には、政府や学校だけでなく、国際機関・開発援助機関を含むさまざまな関係者が、それぞれの立場から協力することの重要性を改めて認識しました。

本インターンシップは、大学院で学んできた知識とラオスの教育現場の実態を結びつける、非常に貴重な経験となりました。特に、教育政策を理解するためには、政策文書の内容、政府関係者の認識、学校現場での実施状況、そして生徒の学習経験という複数の視点から考察する必要があると学びました。また、初等教育から中等教育、高等教育までのつながりを踏まえ、教育課題を包括的に捉えることの重要性も認識しました。今回のインターンシップで得られた経験や視点を、今後の研究活動や将来のキャリアに活かしていきたいと考えています。

本インターンシップは、多くの方々のご協力とご支援によって実現しました。現地での活動を温かく受け入れ、貴重な調査の機会を設けてくださったAnoupheng Keovongsa副局長ならびにラオス教育・スポーツ省の皆様に、深く御礼申し上げます。また、お忙しい中、インタビューに応じてくださった国際機関・開発援助機関の担当者の皆様、学校現場の実情について丁寧にお教えくださった校長先生や教員の皆様にも、心より感謝いたします。加えて、研修の準備から実施に至るまでご尽力くださった、米沢竜也助教をはじめとする神戸大学キャンパスアジア室の皆様、そして本インターンシップへの参加の機会をくださり、日頃から研究活動をご指導いただいている小川啓一教授に、厚く御礼申し上げます。

文責:武富千尋(博士前期課程)