私はワシントンDCにある国際NGO、FHI360にて約4ヶ月間インターンシップをさせていただきました。いくつかの仕事の候補のうち、ジェンダーと教育に関する仕事をやりたいという思いから、最も新しい国である南スーダンの女子教育のお仕事をさせていただくことになりました。

私がインターンをさせていただいた部署はシステムセンターサービスという部署で、EMISと呼ばれる教育統計のモニタリングシステムを専門に扱っています。スタッフメンバーは4人と少なく、その他現地スタッフやコンサルタントが所属しています。南スーダンの他にもアフリカの国々の教育統計に関するプロジェクトを担当しています。

今回私が担当させていただいたお仕事は、EMISを使って南スーダンの女子教育に関する分析を行うというものでした。既存のデータからリサーチクエッション(RQ)を作り出し分析を行う作業は、論文執筆とは対称のもので、初期段階のRQを考えるところから壁にぶつかりました。南スーダンは長い間紛争国であったことで教育に関する研究が進んでいないことを考え、一番基本であろう女子教育と学校環境の関係を分析することにしました。発行されている南スーダンの教育統計ブックレットのデータは学校単位であり生徒個人単位でなく、また家庭に関するデータがないので、結果にある程度のバイアスがかかっていることは承知の上で、あくまで”傾向”をみるための分析をしました。この分析の仕事の中で、学んだことが2点ありました。1つは、計量分析の知識と技術の豊富さの必要性です。必ずしも1つの分析方法から明確な結果が得られるとは限りません。データの種類やサンプルからどのような計量分析方法があるのか、複数候補を挙げ、1つ1つこなしていくことの重要さと難しさを改めて感じました。もう1つは、専門でない人にいかに分かりやすく説明するかです。計量分析手法や解釈を説明するにあたり、専門用語だけではすべての人に理解してもらうことはできません。どのような言い回しが良いのか、どの程度説明を詳しくしたら良いのか。報告書を書き、会議で分析手法や結果を説明する中で何度も壁にぶつかりました。とても難しいことですが、自分自身の専門性のアピールや結果の主張にとても大切なことだと思います。今回この壁にぶち当たることができて良かったと感じています。

限られた時間の中での分析作業は、データクリーニングから始まり、自分でデータを計算して新たなデータを作り出すなど、本当に一からの作業で時間がかかり、苦戦したところが多々ありましたが、大変勉強になりました。一インターン生の自分にこのような専門性を活かすことのできる仕事を与えて下さったことにとても感謝しています。

分析の仕事とは別に、リテラチャーレビューや教育統計ブックレットのフォーマット作成、教育統計のキャパシティービルディングのためのワークショップの日程案作成など、過去に行ったUNESCOバンコクでの経験を活かすことのできる仕事もさせていただきました。

国際機関とは違った教育開発機関で働けたことにより、それぞれの機関の特色を知ることができました。このような貴重な機会を下さった、指導教官である小川教授をはじめ、FHI360のスタッフの皆様に心より感謝しております。どうもありがとうございました。