サセックス大学での経験(竹谷 麻莉子)

taketani3私は2010年8月より、神戸大学と英国サセックス大学の共同教育プログラム、ダブルディグリー制度を利用して1年間留学し、MA in International Education and Development(国際教育開発修士)を取得しました。そして、2011年9月に帰国し、神戸大学へ提出する修士論文を書き、2012年3月に国際学修士を取得しました。ここでは、サセックス大学での1年間を、小川ゼミでの経験を含めながら紹介させていただきます。

まず、2010年10月から12月にかけての秋学期は、教育開発の理論と、開発における教育政策と実例について学び、学期終了時に5000字のエッセイを提出しました。また、英語でエッセイや論文を書くためのアカデミックスキルの基礎を学びました。小川ゼミでは大量の英語文献を読み、その要約を提出するという課題があるので、ある程度の基礎がある状態で、より、授業で得るスキルを深めることができたと思います。

taketani2春学期(2011年1月から3月)は、関心のある内容の授業を2つ選択しました。「Quality of Education」の講義では主に、デューイやヴィゴツキー、ピアジェといった教育思想から、EFAやMcKinseyレポートなど、教育政策や途上国支援についての実例も講義内容に取り入れられていました。EFAやMDGsに関しては小川ゼミでも頻繁に扱われていたので、教育学的な側面からみることができ非常に面白かったです。「Governance in Education」の授業では、教育におけるグッドガバナンスとは何か、また、教育計画について、政策立案のプロセスについて講義を受けました。さらに、教育の地方分権化の歴史的な流れや学校運営の様々な形態についても学ぶことができました。

夏学期(5月、6月)は、Research Methodという研究手法に関する授業を受けました。小川ゼミで統計や定量手法を使う練習をしていたため、より深く理解できました。Research Methodの授業では主に質的手法について、授業観察やインタビューについてグループワークをしながら学びました。私は留学前に、小川ゼミで修士論文執筆のためのプレ調査を実施したことがあったので、より、経験をふまえて理解できたと思います。

taketani4修士論文は、春学期から構想をまとめ、6月に3,000字のプロポーザルを提出し、それを元に指導教官が割り当てられ、内容についてアドバイスをもらいながら15,000字の論文を執筆していきます。私は「Gender Gap in Academic Achievement – The case of Reading Achievement at Primary Level in Tanzania, Focusing on Child’s Motivation」という論文を書きました。小川ゼミでStataを用いた定量分析の手法を学んでいたため、分析手法を制限する必要はなく、自分の論文のテーマを決定することができました。チューターからも、分析方法や論文執筆にあたり丁寧な指導を受けることができ、よかったです。

修士論文提出後は神戸大学に復学し、半年後の修了を目指し、神戸大学に提出するための修士論文に取りかかりました。留学前にある程度の論文の骨子は決めていたので、ラオスで1ヶ月間、調査を行い、「Determinants of Children’s Motivation in the Lao Language Acquisition in Primary Schools: The Case of Vientiane Capital, Lao P.D.R」という題目で、修士論文を書きました。

サセックス大学での経験はとても有意義なものであり、開発学研究の最先端をいくイギリスで、教育開発の知識を深められたことは貴重な学びになりました。また、IDS (Institute of Development Studies)という開発学専門の研究施設で頻繁に開かれるセミナーからも、開発学の現在のトレンドを知ることができました。とても濃い1年間を過ごすことができ、自分の中の国際協力の哲学を深めるきっかけになったと思います。

小川先生をはじめ、留学するにあたり支えてくださった方々に、心よりお礼申し上げます。

神戸大学国際協力研究科博士課程後期
竹谷麻莉子