JICAモンゴル事務所におけるインターンシップ報告(箸 大輝)

2017年8月31日から9月26日までの約3週間、JICAモンゴル事務所においてインターンシップを実施しました。以下その報告をさせていただきます。

今回のインターンシップでは、JICAモンゴル事務所が実施している「ウランバートル市における障害者の社会参加促進プロジェクト」、通称DPUBプロジェクト(The Project for Promoting Social Participation of Persons with Disabilities in Ulaanbaatar City)にて業務補助をさせていただきました。具体的には以下に挙げる活動をさせていただきました。1つ目は、会議における議事録作成、2つ目は、DPUBのFacebookページにて記事の投稿、3つ目は、障害平等研修(以下、DET研修)の準備と実施の補助、4つ目は、ニュースレターの作成、5つ目は、プロジェクトが刊行している「モンゴル国別障害情報」の更新を実施しました。

1つ目の活動として、会議に同行し議事録を作成しました。カウンターパートやモンゴルの障害者団体などと会議があり、今後のプロジェクトの進め方について話し合いをしました。その他にも、JICAが行っている本邦研修参加者の選抜方法や、どのような人材を求めているかに加え、具体的な研修内容についても、会議の際にDPUBから説明が行われていました。

Internship at JICA Office in Mongolia, 20172つ目の活動として、DPUB・Facebookページにて記事の投稿を行いました。上記の会議に加え、若手障害者に向けた勉強会や本邦研修の報告会などの記事を投稿しました。モンゴルの障害分野において現在大きな課題とされているのが、障害についての啓発運動を広げることでした。DPUBが実施している活動を、モンゴル国民に知っていただくことは大きな意義がありました。また、DPUBが行っている研修の中には、日本でまだ広く知られていないものもあり、日本とモンゴル双方に向けて情報を発信することが本業務の大きな目標でした。

3つ目の活動として、DET研修の準備と実施の補助を行いました。DET研修では、障害の社会モデル構築を参加者が考え、実践に移すことが目指されています。本研修は参加型の講義で、参加者が現状をどのように変えて行くべきかを話し合い、計画を立てる形式で行われました。障害者がファシリテーターをすることで、参加者は当事者の視点から社会の現状を学ぶことができていました。モンゴルにおける障害者が置かれている現状や社会モデルの構築について学べたことは、モンゴルの障害児教育に関する私自身の今後の研究に多分に役立つものでした。

4つ目の活動として、ニュースレターの作成を行いました。上記の通り現在モンゴルでは、障害の啓発運動に力が入れられています。DPUBがニュースレターを配布する背景には、障害やプロジェクトについての情報を発信し、より多くのモンゴル国民に障害に対する理解を深めてもらいたいという目的がありました。そんな中で私は、DPUBの第一回ニュースレターの編集を担当させていただきました。

5つ目の活動として、プロジェクトが刊行している「モンゴル国別障害情報」の更新をしました。DPUBは「モンゴル国別障害情報」を2016年度に刊行しており、今回は2017年度版への更新作業の補助をさせていただきました。具体的には、モンゴル国立教育大学で特別教育の講義をされているオドゲレル教授を訪問し、現状についてのインタビューで得られた情報を基に、同大学で開講されている特別教育の教員養成課程に関する情報の更新を行いました。

最後に、このインターンシップで学んだことを報告させていただきます。まず、カウンターパートと円滑にプロジェクトを遂行するためには良好な人間関係を構築することが大切であることを学びました。DPUBは日頃から些細なことでもカウンターパートに報告をし、現状について共通の理解を持ってもらえるように努めていました。次に、モンゴルにおいて障害者がどのような立場に置かれており、政府はどのような政策を行っているのかを理解することができました。モンゴルの障害者の現状を学べたことは、今後の研究に活かすことができると考えています。加えて、JICAモンゴル事務所がウランバートル市で実施している障害者の社会参加促進プロジェクトでインターンシップを行えたことを通し、今後修士論文を執筆するにあたり必要な、貴重な情報と経験を得ることができました。

末筆にはなりますが、今回のインターンシップ参加は、数多くの方々からのご支援なしでは成り立たないものでした。インターンシップの応募から参加に至るまで多大なるご支援をしていただいた小川啓一教授をはじめ、JICA事務所及び専門家の方々、労働社会保障省の方々、小川ゼミ卒業生の方々、並びに本インターンシップに関わっていただいたすべての方々にこの場をお借りして感謝申し上げます。

文責:箸大輝(博士課程前期1年)

関連リンク:
JICA DPUB ホームページ
インターンシップ写真