ウガンダ内閣府におけるインターンシップ報告 (島部 惠子)

2023年8月1日から10月23日までの約3ヶ月間、ウガンダの内閣府においてインターンシップを実施しました。以下、その報告をさせていただきます。

私はウガンダ内閣府SDG推進室のSenior Technical AdvisorであるDr. Albert Byamugishaのもとで、ウガンダの初等教育における教員の暴力と学力の関係性について明らかにするため、1)研究計画の策定と教師の規律に関連する教育政策の分析、2)フィールド調査のための質問紙とインタビュー項目の作成、3)データ収集のためのフィールドワークの実施の3つの活動を行いました。

1つ目の活動では、初日にAlbert先生に3ヶ月間のウガンダでの研究計画の提案を行いました。Albert先生のアドバイスにより、私の研究では現行の政策に関する情報が不足していたため、教員の規律に関する教育政策について調査を行いました。近年の政策の動向を調査する中で、ウガンダ教育・スポーツ省により教員の体罰が禁止されているにも関わらず、未だに国内の至る所で体罰が行われていることが分かりました。また、教員の規律に関する国の調査を精査することで、ウガンダ政府の体罰撲滅のための対策や、NGO や国連といったステークホルダー間の連携なども理解することが出来ました。

2つ目の活動では、初めてのフィールドワークということもあり、入念に準備を重ねました。私の研究では、首都カンパラの郊外にあるワキソ地区にて、小学校の教員150人に対して質問紙調査を行い、校長、副校長、教員、生徒など合わせて40人以上の調査対象者と面接を行う必要がありました。そのため、内閣府で過去に実施された国の調査を参考にし、教育コンサルタントの方々から多くのアドバイスを貰いながら何度もブラッシュアップを重ねました。その結果、包括的な質問紙とインタビュー項目を作成することができただけでなく、回答者の負担を軽減できる質問紙の作り方についても学ぶことが出来ました。

3つ目の活動では、本研究では、対象校として公立及び私立、また都市部及び農村部を含む10校を選定し、各学校を2回ずつ訪問しました。1回目の訪問では、研究目的の説明、調査許可の依頼及び質問紙の配布を行いました。2回目の訪問では、質問紙を回収し、質問紙の回答に基づき、教員及び生徒の合わせて40人に対して個別インタビューを実施しました。質問紙調査での回答率はおよそ80%で、学校内における教員同士の柔軟な連携もあり、ほとんどの質問紙に調査対象者からの回答が全て記入されていました。フィールドワークを終了後、本インターンシップを通じて得た研究成果に関する報告書を執筆しました。

本インターンシップを通じて、私は主に2つのことを学びました。1点目は、国の教育についての昨今の政策及びその意図を理解する重要性です。これまでは研究計画を作成する際、先行文献を参考にしながら、リサーチギャップを見出すことに焦点を当ててきました。しかしながら、現行の課題に対する政策や政策立案に至った背景、政策の歴史などから把握できる教育課題の変遷についての知見は不足しておりました。したがって、現地専門家との議論や政策の分析を通じて、ウガンダの教育に関する国の指針を理解することの重要性を痛切に感じました。

2点目、フィールドワークを実施することの難しさです。本インターンシップ期間中、内閣府だけでなく教育スポーツ省からもアドバイスをいただき、何度も質問紙やインタビュー内容に磨きをかけました。しかし、実際に現地調査を遂行するとなると、アンケートの内容を理解できず、関係ないことを答えてしまう教員が複数いたり等、バイアスを少なくするインタビュー調査の難しさを痛切に感じました。こうした事態は当初から想定していなかったため、フィールドワークを行う前に、できるだけ多くの人に質問紙やインタビュー項目に回答してもらい、様々な意見を伺うべきだと学びました。

末尾になりますが、ウガンダ内閣府でのインターンシップを快く受け入れてくださったDr. Albert Byamugisha、調査実施のために多大なるご支援をくださったMr. Abdul Malik Muwanga、ウガンダ内閣府SDG推進局の皆様、そしてこのような貴重な機会を提供してくださった小川啓一教授、その他調査にご協力頂いた全ての方々にこの場をお借りして拝謝申し上げます。

文責: 島部恵子 (博士前期課程)