開発運営政策セミナー「ポスト2015に向けた国際教育協力−NGOの視点から−」

2014年6月25日(水)、開発運営政策セミナー「ポスト2015に向けた国際教育協力−NGOの視点から−」が、神戸大学国際協力研究科シミュレーションルームにて開催され、国際教育開発分野においてNGO活動に携わっているお二人が、このセミナーでNGOでの経験を発表されました。一人は、Education Without Borders (EWB)にてコーディネーターを務めるパク•クリスタル•スジョン氏、もう一人は、シャンティ国際ボランティア会(SVA)ラオス事務所の元調整員で、現在は神戸大学国際協力研究科博士課程後期課程に所属する竹谷麻莉子氏です。

024パク氏は、「アフリカにおける貧困削減に向けた国際教育協力プロジェクト」をテーマに、EWBが、対象国のアフリカ諸国でこれまで実施してきたプロジェクトや、今後実施予定のプロジェクトに関して発表しました。まず、EWBのヴィジョンと主な活動について紹介した後、ブルキナファソで2010年から実施されているGAPA (Global Alliance for Poverty Alleviation)プロジェクトについて、ICT (Information and Communication Technology)支援に関する人材育成といった事例を挙げながら、説明しました。パク氏は、EWBは現地NGOや国際機関とも協同しているとし、プロジェクトを通して現地の人々が自ら考え、彼ら自身で貧困から脱却することを期待していると述べました。また、これまでEWBは、現地の人々に、積極的にプロジェクトに参画してもらうよう働きかけており、それが、プロジェクトの持続可能性にも繋がるということです。パク氏は、今後実施していくエチオピアでのSMT(Science, Mathematics and Technology)教育についても紹介し、さらに、ポスト2015へ向けてEWBは、成人教育と技術教育に、より一層焦点を当てていくと、述べました。

028パク氏の発表に続き、竹谷氏が「図書館と学校の建設を通じた国際教育協力−日本のNGOの経験から−」をテーマに、SVAでの経験を発表しました。まず、SVAの歴史を紹介した後、SVA の主な活動の一つである図書館活動について説明しました。竹谷氏によると、図書館活動は全ての活動国で行われているとのことです。次に、SVAラオス事務所での教育プロジェクトの紹介に移りました。SVAラオス事務所は1992年に設置されて以降、これまで主に、移動図書館活動や出版、公共図書館支援といった図書館事業と、学校建設事業を実施しており、そして、これから始まる新たな事業では、少数民族を対象とするプロジェクトを実施し、教員研修にも力を入れていくとのことです。発表の最後に、ポスト2015へ向けたSVAの中期計画にも言及し、より困難な立場におかれている人々に焦点を当て、対象国の政府や関連機関が、読書、図書館活動を教育政策にも関連づけるよう取り組んで行くことを述べました。

今回のセミナーの討論者である、小川啓一教授と、ソウル国立大学名誉教授で本研究科客員教授のキム・コービル・キソク博士、そして、FHI360上級政策アドバイザーでメリーランド大学客員教授のギンズバーグ・マーク博士から、NGOの財源について、ポスト2015に向けての計画といった、発表をより深めるコメントや質問がされました。また、質疑応答では、参加者の方々から、事業の対象となる人々をどのように選ぶのか、また、アジアの活動団体の特徴について等、様々な質問やコメントが寄せられました。

今回のセミナーは、現在、NGOがどのような事業をどのようの実施しているのか、そして、ポスト2015に向けてどのように取り組んでいくのか、といったことを共有する、非常に有意義な機会となりました。

(文責:神戸大学国際協力研究科博士課程後期 竹谷 麻莉子

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http://www.kobe-u.ac.jp/NEWS/event/2014_06_25_04.html