ウガンダ教育スポーツ省インターンシップ報告(沼澤 建)

2014年8月26日~10月6日までの約1ヶ月半に渡り、ウガンダ教育スポーツ省(Ministry of Education and Sports: MoES)においてインターンシップをさせていただきました。以下、その報告をさせていただきます。

インターンシップの開始当初はEducation Planning and Policy Analysis Department内のMonitoring & Evaluation Divisionに所属し、その後Directorate of Education Standards (DES)に配属されました。期間中は自らの研究である「ウガンダの公立小学校における教員の欠勤」に関するデータ収集を主な目的に、大きく分けて以下に挙げる4つの活動をさせていただきました。1つ目はMoESの管理するデータベースであるEducation Management Information System(EMIS)および他の資料からの二次データの収集、2つ目はMoESおよび他の国際機関等の教育セクター関係者との意見交換、3つ目はWorld Bank、UNICEF等の援助機関とMoESが合同で実施しているGlobal Partnership for Education (GPE)プロジェクトのミーティングや、MoES全体の年次会合である2014 Education and Sports Sector Review (ESSR)への出席等の会議への参加、そして4つ目はDESの行うSchool Inspectionに参加して実施した、教員への質問紙調査および半構造化インタビューとSchool Inspectionでの業務のサポートです。

Takeru21つ目の二次データの収集では、MoESの管理するEMIS、DESの管理するSchool Inspection関連の資料、他様々な現地でのみアクセス可能な資料を主に活用しました。School Inspection関連の資料では、地域ごとのSchool Inspection Reportを通じ研究テーマである教員の欠勤に関するデータを収集するのみならず、School Inspectionのガイドラインなども閲覧させていただくことができ、教育の行政サイドが現場をモニタリングする仕組みを理解することが出来ました。

2つ目の教育セクター関係者との意見交換では、MoES内部のみならずUNICEF、World Bankといった開発援助機関、またウガンダの教員組合であるUNATUなど、様々な立場から教育問題に取り組む方々と実際にお会いし、自身の問題関心について議論することが出来ました。MoES内では各部署のCommissionerを始めとした方々、他機関ではUNICEFのProject Assistant、World BankのSenior Education Specialist、UNATUのCommissioner等との意見交換を行いましたが、教員の欠勤は現地の関係者にとっても重要な課題であると認識されており、原因や解決策について様々な意見をいただくことができました。

3つ目には、MoESが開催、もしくは参加している二つの会議に出席しました。一つ目は9月1日に行われたGPEプロジェクトのICT-sub componentの会議への出席で、これは私の所属していたDESとUNICEFが中心となって進めているパートとなっていました。ミーティングでは教員の出席をモニタリングする新たなシステムの導入についての議論が行われ、幸運にもシステムのデータベースへのアクセス権をいただくことができました。また、9月24日から26日の期間に行われたESSRでは、今後のウガンダの教育行政の方針が各部署のトップ間で話し合われる様子を実際に見学することが出来、自らの研究が現行の教育行政のどこに位置付けられるのかを確認しました。

Takeru34つ目には、DESの業務の中心であるSchool Inspectionに同行しました。School Inspectionは量的・質的の両面から各学校の業務を視察するMoESのモニタリング業務であり、今回は中央州のWakiso県、Mukono県の各校が対象となっていました。その中で業務のサポートを行いつつ、各校の教員に対し自らの研究の質問紙調査と半構造化インタビューを実施しました。業務のサポートとしては1学期内の教員・生徒の出席率の確認、生徒のノートを通じた各科目の授業回数及び授業の質の調査を行いました。また、質問紙調査及び半構造化インタビューでは、教員の欠勤の発生要因についての質問項目を中心とし、質問紙に関しては計70名ほどの教員から回答を得、回収することができました。この質問紙調査およびインタビュー結果は、今後の修士論文執筆に役立てる予定です。

今回は私にとって開発途上国における初めてのインターンシップとなりました。今回の成果としては、受け入れ先機関であるMoESの方々を始めとし、ウガンダの教育セクターの関係者と直接会い議論を交わせたことと、現地でのみアクセス可能な一次データ、二次データを多く入手できたことです。今回のインターンを通じ様々な方々とネットワークを築くことができ、今後も連絡を取り続けこれを維持し、修士論文の質向上に努めたいと思います。また英語力に関しても、日常的なコミュニケーションのみならず学問的なディスカッションにおいて自分の意見を伝えるスキルを向上させることができたと考えます。しかし一方で、自らの調査・分析能力については行き詰まりを感じることが多かったのも事実です。これらに関しては、後期のGSICSでの講義で補っていこうと考えています。

末筆になりますが、今回の素晴らしい機会を提供して下さった指導教官の小川啓一教授、そしてインターンとしての受入れを認めインターンシップの機関中サポートをして下さったEducation Planning and Policy Analysis DepartmentのAssistant CommissionerであられるJoseph Eilor氏をはじめとする教育スポーツ省の多くの方々、その他調査にご協力いただいたすべての方々に、心からの感謝の意を表したいと思います。

博士前期課程1年
沼澤 建