小川ゼミの学生が執筆した教員の動機付けに関する論文が国際雑誌に掲載されました。
小川ゼミの矢野泰雅さんが執筆された『Teachers’ mo...
2015年3月7日から2週間にわたり「国際機関から学ぶ人的資源開発に関する調査」に参加しました。本実習は小川啓一教授のご指導による国際協力研究科の授業としてアメリカ合衆国ワシントンDC開催された海外実習です。実習の成果として、本レポートでは第一に国際学会での発表や他の研修者との交流を通してこれまでの研究を評価し今後の課題を確認したこと、第二に国際援助機関等への訪問を通して実際に活躍されている専門家からお話を伺うことで今後の研究やキャリア構築への示唆を得たことという、主に二点について報告いたします。
まず、本実習に参加することで、修士課程での研究成果を客観的に振り返ることができました。実習前半のアジェンダであった第59回Comparative International Education Society (CIES) 国際大会は、世界中の研究者や国際援助機関(ユネスコ、ユニセフ、世界銀行など)で活躍する専門家が研究成果を共有する場であり、比較教育学や国際教育開発論の分野における最先端の知見に触れることができました。たくさんのセッションに参加して学ぶと同時に、私自身も”Impact Analysis of School and Family Facility on Learning Achievement in Primary Education in Togo”というタイトルで、完成したばかりの修士論文の成果を発表し、会場からコメントや今後の研究へのアドバイスをいただきました。私は第57回大会にも参加しており、当時は途中段階の研究報告として発表しましたが、今回は論文として書き上げたものを発表し、自身が修士課程において着実に成長の途を歩んできたのだということを確認することができました。また、これまで各地で開催される学会で顔を合わせたことのある、共通の関心を持つ研究者と再会して最近の研究について意見を交わしたり、新たにネットワークを広げたりと、国際学会という機会を生かすことができました。
二点目に、援助機関等で勤務される専門家との交流により、研究やキャリアについて様々なヒントを得ることができました。CIESの大会は毎年開催都市が変わり、小川ゼミの海外実習では例年CIESの開催地で1週間、ワシントンDCに移動してさらに1週間というカリキュラムであることが多いようです。今年はCIESもワシントンDCで開催されましたが、この実習で毎年ワシントンDCの滞在が含まれているのは、ここが世界銀行などの主要な援助機関が集まっている都市だからという理由があります。今回も世界銀行、FHI360、ジョージワシントン大学などを訪問しました。小川教授ご自身が以前世界銀行にいらっしゃったことに加えて、小川ゼミの先輩も現役で勤務していらっしゃり、小川ゼミには素晴らしいネットワークがあります。教授だけでなく先輩方も実習を手厚くサポートしてくださり、国際機関で就職するために皆さんがこれまでどういう道を進んでこられたのか、またポストを得られた後も活躍し続けるために必要なことなどをお話してくださいました。さらに、各分野の専門家も紹介してくださり、私がこれから研究を進めていきたいと考えているセネガルの教育におけるスペシャリストであるAtou Seck氏と知己を得ることができました。世界銀行のような機関で第一線で活躍されているような方々が、一学生からのアプローチにも真摯に応えてくださり、都合がつけば気軽に会ってお話をしてくださるというのは小川ゼミに身を置いて驚きをもって知ったことであり、小川ゼミのキーワードである”be proactive”というのはこういうところで発揮するのだということを実習を通して学びました。
私はこの実習に参加した3月に博士課程前期課程を修了し、4月から博士課程後期課程へ進学します。このタイミングで海外実習に参加したことで、前期課程を総括し、後期課程へ臨む気持ちを新たにすることができました。小川啓一教授、Eduardo Velez博士、宮島智美博士、小川研究室修了生の野村真作博士、荘所真理博士、田中伸幸博士、野村美穂氏、そして神戸大学大学院国際協力研究科をはじめ、各方面で支えてくださった皆さまに心からお礼申し上げます。
博士課程後期課程1年
石野紗也子