FHI360インターンシップ報告(大橋 奈津美)

2014年8月から6週間、アメリカ合衆国のワシントンD.C.にある国際NGO 「FHI360」にてインターンシップをさせて頂きました。FHI360はUSAID(United States Agency for International Development)を筆頭に様々な援助機関と協働して医療・保健・教育・環境など国際開発のあらゆる分野において活動している機関であり、これまで多くの小川ゼミ生が教育部門(Global Learning Group)にてインターンシップに従事して参りました。以下、先輩方に引き続きインターンシップに参加させて頂いた私の経験をご報告させて頂きます。

インターンシップ中は教育部門の中の中等教育部(Secondary Education Team)に配属され、先進国・発展途上に関わらず世界各国の中等教育制度を最新のデータを用いてまとめ、世界の中等教育制度を概観できる資料を作成し、またそこに独自の分析結果を加えることを任されました。これは、現在初等教育の普及・発展に重きを置いている教育開発分野が、今後その成果を受けて中等教育により比重を傾けるであろう、という予測に端を発したものになります。私を今回受け入れて下さった指導担当の方からは、中等教育部だけでなく、FHI360で教育に携わる全てのスタッフにとって明快で有益な資料を作成してほしい、と言われました。

資料の作成中は、その方に定期的に進捗報告を行いアドバイスを頂きながら、個人で情報収集と分析、そのまとめを行いました。また、指導担当の方だけでなく、データ分析を主に行う部署のスタッフや他のアドバイザーの方々からも意見を伺う機会を頂き、分析の内容・方向性の修正もその都度行うことができました。また、分析結果を、インターンシップの最終日に中等教育部だけでなく教育部門のスタッフ全体に広く呼びかけて、発表する機会も頂きました。この分析結果発表を受け、教育分野でも様々な専門性を持つスタッフの方々から感想や意見を頂き、スタッフ間で中等教育に関する議論が活発に行われたことで、インターンシップの成果として大変満足して頂けました。

上記の活動を通して、分析を行う際にどのような視点が求められるか、一つの文書に分析結果をまとめる際に、どのようにすれば意図が伝わる明快なものになるかといった、分析・調査を行う際の基礎的な手法やその基となる考え方を学び、論理的思考力や文章力・構成力を培うことができました。私自身、個人で何か分析を行いその結果をまとめる経験に乏しかったため、一人で情報収集から資料作成までの一連の過程を経験できたことは非常に有益な経験となりました。

加えて、国際協力・開発分野で活動する国際機関を始めとする様々な団体が集結するワシントンD.C.にインターンシップを通して滞在できたことにより、FHI360だけでなく、他の機関の活動、あるいは国際協力全体の動静についても理解を深めることができました。FHI360では独自のインターンシッププログラムとして、FHI360内で開催される他部署のワークショップや他機関によるイベントへの参加が義務付けられていました。そこで、小川ゼミのOGで現在世界銀行で働かれている荘所真理氏にご協力頂き、世界銀行内で開催されたスタッフ向けのワークショップに参加させて頂きました。

これらの活動を通して実際に国際機関・団体で働かれている方々と接しお話を伺うことができ、私自身の卒業後のキャリアビジョンをより明確にすることができました。これらの経験は、今回このインターンシップに参加させて頂けなければ得られなかっただろうと感じています。

末筆になりますが、このような素晴らしい機会を提供してくださった指導教官の小川啓一教授、そしてインターンとしての受け入れを認めインターンシップの全期間を通じて暖かい支援をしてくださったTeam LeaderのAna Florez氏にまず、感謝の意を表したいと思います。また、公私に渡り私の業務・滞在を補助して下さったProject ManagerのRebecca Potts氏を始めとするFHI360のスタッフの皆さま、お忙しい所お時間を割いてキャリアについてご相談させて頂いた世界銀行コンサルタントの荘所真理氏、野村真作氏、その他貴重な時間を提供しインターンシップ中にご協力いただいた全ての方々に、心からの謝意を表したいと思います。

博士前期課程2年
大橋奈津美