トロントとワシントンDCでの海外実習報告 (松浦 竜介)

私は2014年3月9日から3月22日まで、カナダのトロントと米国のワシントンD.C.にて海外実習に参加させていただきました。本実習は「国際機関から学ぶリスク・マネージメントに関する調査」を主題に実施されました。トロントでは、3月10日から15日までSheraton Center Toronto Hotelにて開催された、「第58回比較国際教育学会(Comparative and International Education Society: CIES)」に参加しました。ワシントンD.C.では、3月17日から21日までの期間中に世界銀行本部、国際通貨基金、米州開発銀行、米国国際開発庁、ジョージワシントン大学、及びFHI360(国際開発NPO)等を訪問しました。私が本実習に参加した目的は次の2点です。第一に、自身の研究を進展させると共に、教育開発分野における最先端の研究の動向を捉えることです。第二に、今後のキャリアビジョンを明確にすることです。これらを踏まえ、本実習での私の取り組みについて以下に報告いたします。

最初に、研究に関する取り組みについて以下に述べます。トロントで開催された比較国際教育学会では、関心のあるワークショップやセッションへの積極的な参加を心掛けました。大会初日に参加したワークショップでは、国際学力調査の統計データを扱う上で有用なPISA International Data Explorer、XTXS、及びAM Statistical Softwareといったデータベースの使用方法について学びました。このワークショップは国際学力調査の定量分析に関心のある私にとって、有意義な学びの機会となりました。また、3月13日に行われた「Early grade reading literacy: Practices, assessments, success and challenges」のセッションでは、私の関心のある分野の一つであるEarly Grade Learningについて、イエメンやウガンダ等における早期教育の教育支援活動の事例研究が紹介され、自身の研究の問題意識の発展に役立てることができました。ワシントンD.C.の訪問先では、国際開発分野の最前線でご活躍されている研究者や実務者の方々にインタビューを実施しました。このインタビューでは最新の研究成果の報告に加え、教育開発援助の今後の動向についての見解など、様々な視点から大変貴重なお話を伺うことができました。さらに、私は実習終了後もジョージワシントン大学のJames William博士を訪問し、自身の研究について多くのご助言を頂戴いたしました。
次に、キャリアビジョン形成に関する取り組みについて以下に述べます。ワシントンD.C.の訪問先では、国際機関や世界銀行で活躍するために必要な資質や戦略的なキャリア形成について大変貴重なご助言をいただきました。この経験を通し、私が思い描いていたキャリア形成の戦略と専門家の方々のそれとのギャップを埋めることができました。また、世界銀行本部にて教育エコノミストとしてご活躍されている、小川ゼミ修了生の野村真作氏との懇談の機会をいただきました。この懇談では、私の研究の方向性とキャリアビジョンを踏まえ、今後のキャリアプランについての大変貴重なご指導を頂戴いたしました。

本実習での様々な出会いと経験を通し、私は当初の目的を果たすことができました。また、修士課程の1年次から国際学会への参加やネットワーキング等の貴重な機会をいただいた経験が、自らの意志で積極的に将来を切り開く原動力となりました。末筆ではございますが、大変貴重なお時間をいただいて懇談してくださった専門家の方々、本実習をコーディネートしていただいた荘所真理氏、田中伸幸氏、ご自宅に温かく歓迎していただいた野村真作氏、野村美穂氏、このような素晴らしい海外実習の機会を提供してくださった指導教官の小川啓一教授、そしてこの度ご支援していただいたすべての方々に、心より深く御礼申し上げます。

博士前期課程
松浦 竜介