カンボジア開発資源研究所(CDRI)におけるインターンシップ報告(小池拓実)
2024年1月から2024年2月にかけて、カンボジア開発資源...
2014年6月10日(水)に、神戸大学大学院国際協力研究科棟1階大会議室にて開発運営政策セミナー「カンボジアにおける教育政策と戦略的な計画」が開催されました。本セミナーではカンボジア教育ユース・スポーツ省の計画・政策事務次官、リム・ソシア氏をお迎えし、本議題についてセミナーをしていただき、50名以上が参加しました。
本セミナーにおいてリム氏はまずカンボジアの背景について説明されました。カンボジアの地理的、人口的、経済的背景についての説明から始まり、その後カンボジアの教育の背景を紹介されました。教育の背景については、フランス的な13年制の教育システムから現行の12年制の教育システムに至るまでのカンボジアの教育システムの歴史的変遷や、2000年前後での教育政策の変化について話されました。2000年前後の教育政策の変化の一例としてはセクター・ワイド・アプローチの導入について説明されました。
次に、リム氏は近年の教育政策の傾向を紹介されました。まず、カンボジアが実施している教育政策の種類について説明されたあと、近年の教育政策を紹介されました。近年の教育政策については、2000年からの教育政策の変遷や教育政策計画立案の方法について触れられました。また、リム氏はカンボジア政府が取り組むドナー協調の側面についても話されました。カンボジアでは、ドナー協調を国家間レベル、教育省内レベル、ドナー間レベル、市民団体間レベル、教育省部署内より分析している旨を説明されました。
最後に、リム氏はカンボジアの教育における課題を提示し、そのための戦略と次期の教育計画の展望を発表されました。カンボジアの教育政策はインプット重視からアウトプット重視の政策へ転換し、結果重視の政策を推進している旨を説明されました。また、リム氏は統制的な教育計画を実施する重要性について、そして教育政策と国家の政策が一致することの必要性について触れられました。カンボジアの教育政策における課題については、教育計画の質の改善、ドナー協調の強化、モニタリング・評価の改善、そして教育開発のためのシステム強化について説明されました。次に、次期の教育計画の展望として、教育のアクセスの更なる拡大、教育の質改善、ライフスキル教育の重視、持続的開発への取組について触れられました。
質疑応答の時間では、参加者は主にカンボジアの教育政策について多く質問されました。たとえば、参加者は教育計画立案のプロセスや教育計画を作成する際の学校の役割について質問されました。また、リム氏が講義において取り上げた内容以外にも、参加者はカンボジアの退学率の傾向や、特別支援教育や成人識字教育に関する教育政策ついても質問されました。本セミナーによって、参加者は教育政策と教育計画についての知見を深めることができました。この場をお借りしまして、講師のリム・ソシア事務次官、そしてこのような機会を設けてくださった小川啓一教授に深くお礼申し上げます。
(文責 神戸大学大学院国際協力研究科 博士課程前期課程1年 白石希望)