世界銀行と持続可能な開発目標「人的開発指数 ―学修成果の視点からー」(Dr.Harry Patrinos)
2022年1月14日、世界銀行でプラクティスマネジャーとして...
2015年6月9日(火)、神戸大学大学院国際協力研究科棟1階大会議室にて、開発運営論セミナーが開催されました。同セミナーでは、小川啓一教授が司会を務め、高麗大学国際大学院の副院長であるイ・スンホ教授が講師として、メコン川流域における水資源開発の利益とリスクについて講義をしてくださいました。32名の参加者のなかには、メコン川流域諸国出身の人達だけでなく、他の地域出身の人達も多く参加し、闊達な議論が交わされました。
本セミナーの冒頭、イ・スンホ博士はメコン川流域諸国の地理的・政治的問題について概略を説明してくださいました。そのメコン川流域諸国は、中国(上流)、ミャンマー、ラオス、タイ、ベトナム、そしてカンボジア(下流)を指します。これらの国々のなかでメコン川に対する経済的関心を払っている国は中国とラオスになります。それは、両国におけるメコン川流域の所有割合が高く、経済的便益を享受する可能性もまた高いからです。同セミナーでは、その利益とは何か、その利益配分はどのように行われているのかを紹介してくださいました。イ・スンホ博士は続けて同流域の水力発電開発の状況を概説し、メコン川流域諸国において現在行われている具体的な水力発電ダムプロジェクトのいくつかについても紹介してくださいました。特にラオスが2025年までに100の水力発電ダムを建設する計画は、本セミナーに参加した聴衆の興味、関心を大いに惹きつけました。
本セミナーにおいてイ・スンホ博士によるキーメッセージは、メコン川流域における開発や利益配分は争いの火種となる可能性がある一方で、複数の国にまたがる河川は地域協力の源泉になる可能性もあるということです。本セミナーの最後には、上流に位置する中国と下流域にある諸国との間で水力発電によって生み出されたエネルギーの利益配分やメコン川流域の開発が進むことによって生じる他の経済活動の活性化が他の流域諸国にも利益が分配される事例を通じて地域協力が進んでいることも紹介してくださいました。
本セミナー後の質疑応答では、特にメコン川流域諸国出身のセミナー参加者を中心からの質問を通じて、白熱した議論が交わされ、同流域における社会経済開発の可能性および課題について一考する絶好の機会となりました。
文責:国際協力研究科博士課程後期課程 島田 健太郎