キャンパスアジア、高麗大学での経験(原元 由貴)

私は2014年8月から2015年7月まで、キャンパスアジアという日中韓、三ヵ国で行われているダブルディグリープログラムで韓国の高麗大学国際大学院に1年間留学しました。ここでは、私のダブルディグリープログラムでの経験、留学先の高麗大学についてご紹介させて頂きます。

キャンパスアジアは、平成21(2009)年10月10日の第2回日中韓サミットで日本側の提案した「東アジア地域における大学間交流」に始まります。その提案が、「CAMPUS Asia(Collective Action for Mobility Program of University Students in Asia)」構想へと発展し、文部科学省の「平成23年度大学の世界展開力強化事業」の中で、「キャンパスアジア中核拠点形成支援」として結実しました。

IMG_1585私が留学していた高麗大学は1946年に創設された韓国有数の私立総合大学で、2キャンパスに22の大学(学部)、20の大学院を擁しています。近年では「Global KU」を掲げ、78ヵ国・744の大学や機関と提携して、数多くの学生が海外に留学しているとともに、海外からの留学生も多数受け入れています。キャンパスアジアプログラムにおいてコンソーシアムを形成する国際大学院(GSIS)は、1991年に設立されました。国際大学院の講義はすべて英語で行われます。修士課程には国際研究と韓国研究の2学科があり、前者には「International Commerce Track」、「International Development & Cooperation Track」、 「International Peace & Security Track」、「Regional Studies Track」の4つのプログラムが設置されており、私は「International Development & Cooperation」を専攻していました。GSISにはアジアのみならず、アフリカ等の途上国や、ヨーロッパ、北米等から多くの留学生を受け入れており、学生の多数は留学生が占めています。そのため、とても多様化した学習環境で、様々なバックグラウンドの学生達と交流することができます。

GSISは2年間の間に50単位を取得することが修了要件となっており、講義は1回が3時間と長く、コースワークに重点を置いています。また、コアクラスという、修了のための必修の講義があり、専攻に関わらず6つのコアクラスを履修する必要があります。前期はコアクラスを含め6つの講義を履修しました。コアクラス以外は自分の専門に応じて講義を選ぶことができます。私は研究対象であるアフリカに関連した地域研究の講義等を受講しました。GSISの特徴として多種多様な講義が設けられていることが挙げられます。専攻のプログラムに関係なく、他のプログラムの講義も受講できるため、幅広い知識を身に付けることが可能です。講義の構成は学生のディスカッション、プレゼンテーションが多く課題も講義によっては多いものもあります。前期は講義も多く、課題の量も必然的に多くなってくるので、コースワークに追われる日々でした。論文に関しては、指導教官に研究計画書を提出し、先行研究のレビューに専念しました。

IMG_4159後期は、コアクラスを含め5つの講義を履修しました。私の専門である教育開発の講義やアフリカ経済の講義を受講しました。特に、教育開発の講義では途上国の教育開発における国際潮流や、EFAやMDGs、これからのPost2015アジェンダについてディスカッションやプレゼンテーションを行ない、さらに自分の知識を深めることができました。また、高麗大学での論文でも取り扱った韓国の教育開発援助についても、学ぶことが多く、とても有益な講義でした。

また、GSISには講義だけではなく、他にも、学生のために用意されたサポートが多くあります。一つは「Academic Societies」です。学生によって運営されている組織で、学生の興味ごとに分かれており、「Japan Society」、「East Asia Society」「Africa Society」など様々なグループがあります。そこでは学生たちのプレゼンテーションやディスカッション、外部機関から講師を招いての特別講義等、バラエティに富んだ活動が行われています。ジャーナルを発行することもでき、学生にとっては講義以外に、自分の興味分野の知識や経験を広げるための良い機会となっています。また、キャリアセンターという学生のインターンシップやキャリアをサポートしている部署もあり、インターンシップの斡旋や、インターンシップの単位認定など、あらゆる側面で学生をサポートしています。

私は1年の留学を終え、現在神戸大学に戻り、神戸大学へ提出する修士論文を執筆しています。高麗大学では、職業訓練教育開発における課題をスーダンでの韓国の開発援助をケーススタディとして扱った研究を実施し、今年の11月に論文を提出し、来年3月修士号を取得する予定です。このキャンパスアジアでダブルディグリープログラムに参加して、多くのことを学び、多くのことを経験させて頂きました。専門的な学術知識のみならず、課外活動や多種多様な留学生との交流を通じて、固執していた、自分の韓国や東アジアに対する歴史の捉え方、考え方を変えることができました。

最後に、神戸大学での指導教官である小川先生をはじめ、神戸大学、高麗大学双方のキャンパスアジア担当の先生方、支えて下さった皆様に感謝を申し上げます。本当にこのような貴重な機会を与えて頂きありがとうございました。

関連リンク:
キャンパスアジアプログラム
高麗大学国際大学院

文責:神戸大学大学院国際協力研究科博士課程前期2年 原元由貴