カンボジア教育ユース・スポーツ省におけるインターンシップ報告(金澤 龍馬)

2017年9月4日から同月30日までの約1か月間、カンボジア教育ユース・スポーツ省(以下、教育省)にてインターンシップを実施しました。以下その報告をさせていただきます。

私は教育省の計画局に配属され、カンボジアの小学校における教員の職務満足度に関する調査を行いました。具体的に以下に挙げる活動をさせていただきました。1つ目は、小学校で質問票の配布・回収及びインタビュー調査、2つ目は、UNESCOとUNICEFのプノンペン事務所での調査、3つ目は、教員養成校への訪問、4つ目は、州・群教育局職員へのインタビュー調査の実施をしました。

Internship in Cambodia, 20171つ目の活動として、プノンペン市内の公立小学校2校と私立小学校1校を訪問し、教員に質問票を配布、また教員と学校長にインタビュー調査を行いました。具体的には上記の3校の学校で、教員の職務満足度に関する質問票を合計で100枚ほど配布・回収し、5人の教員と各学校長にインタビュー調査を実施しました。教員に対しては、給与水準、学校の設備、同僚との関係など教員の職務満足度に関する質問をし、学校長に対しては、学校運営、教員の指導・評価法などについて質問しました。これらのインタビュー、質問票を通じて、教員の職務満足度に関する知見を広げることができました。さらに、これらの学校の視察や授業観察を行い実際の学校設備の状態や教室内での生徒と教員の関わり方などについて理解を深めました。

2つ目の活動として、UNESCOとUNICEFのプノンペン事務所を訪問し教育専門家の方々にインタビュー調査を行いました。専門家の方々からカンボジアの初等教育に関する現状や、各国際機関がカンボジア教育省にどのような支援を行っているのかを学びました。また、フィールド調査をおこなう上で注意すべき点など自身の調査について貴重な意見をいただきました。教育省のみならず国際機関からカンボジアにおける初等教育及び調査方法の情報を得ることで、自身の研究テーマに関する知識を深めることができました。

3つ目の活動として、プノンペン市内の教員養成校を訪問し、教員養成校の教師に質問票の配布、そして教員養成校のカリキュラム、授業内容、教室内の設備、また職務満足度に関する質問を行いました。インタビューでは、教員養成校の教室内の設備が不足していることや、教員の給与水準が低いために成績優秀な生徒は教員よりも給料が高い他の職に就く場合が多く、成績不振の生徒が教員養成校に入学している傾向があることなど、教育の質に関する様々な問題についてお話していただきました。

Internship at MoEYS, Cambodia4つ目の活動としては、Kompot州及びChouck群の教育局を訪問し、教育局内での仕事内容やカンボジアの初等教育の現状について教えていただきました。職員の多くが教員の仕事を経験されていたこともあり、教員の職務満足度に関する情報も提供していただきました。多くの教員が副業をして生活しており、副業をしなければ生活が成り立たないことや、教員と児童の保護者との関係が希薄であることなどが深刻な課題であると指摘されていました。また、教育局の仕事内容については、各年度の教育年次計画書を拝見し、予算配分の内容や教育年次計画書の作成の過程などについて学ぶことができました。

本インターンシップは、1ヶ月間という短い期間でしたが、神戸大学大学院国際協力研究科に入学してから5ヶ月間学んだ知識とスキルを実際のフィールドで試すことができ、カンボジア教育省の政策を実施している部署でインターンシップができたことは、今後修士論文を執筆するにあたり必要かつ貴重な情報と経験を得ることができました。

末筆になりますが、カンボジア教育省でインターンシップを受け入れてくださった計画局のリム・ソシア事務次官、現地で多大な支援を提供してくださった計画局職員の皆様、そしてこのような素晴らしい機会を提供してくださった指導教員の小川啓一教授、その他調査にご協力いただいたすべての方々にこの場をお借りして拝謝申し上げます。

文責:金澤龍馬 博士前期課程1年

関連リンク
カンボジア教育ユーススポーツ省
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