世界銀行と持続可能な開発目標「教育システムの構築 ―経済発展と成長を促進する教育の役割についてー」(Eduardo Velez Bustilloo博士)

2021年12月27日、世界銀行でセクターマネジャーを務めたEduardo Velez Bustilloo博士を招聘し、「Creating Education Systems that Deliver」をテーマとした講演が行われました。

Eduardo博士は、幼児教育が認知能力と非認知能力の発達に与える正の影響と生涯を通じた教育投資収益率の高さから、幼児教育への投資の重要性を強調されました。また、教育開発の国際的潮流について、1960年代の世界教育地域会議から、2000年から2015年にかけての国連ミレニアム開発目標(MDGs)、そして2015年から2030年にかけての持続可能な開発目標 (SDGs) を中心に、それぞれの特徴と違いに触れながら丁寧に説明されました。MDGsが開発途上国の段階的な発展を考慮しきれていなかった目標であった点と、教育に関するSDGs目標4の大々的な目標に合わない達成の難しさを課題として挙げ、Eduardo博士の実際の経験を交えながら、「クライアントが運転席に座っている時が、国際機関やNGOが支援する最善の時であり、私たちはクライアントが望むところ以上にはいくことができない。」と述べられました。 

Eduardo博士のウガンダ、メキシコ、中国での経験に基づいて、プロジェクトや会議が成功する要因について、クライアントの役割について触れながら説明されました。最後に、21世紀には、「学ぶこと」が国際教育政策の重要な要素となり、今後さらに各国及び国際社会全体での学習評価システムの構築が不可欠になるであろうと述べられました。収益率の高い教育段階への投資を増加し、より不利な状況にある子どもたちに焦点を当てるためには「Education for All」から「Education for Some」に変えていく必要があると述べました。

本講演ではEduardo博士の講義と学生との議論を通じて、教育投資の重要性や世界銀行の教育開発における役割について理解を深める非常に有意義な機会となりました。

文責:宇野 耕平

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