小川ゼミの学生が執筆した教員の動機付けに関する論文が国際雑誌に掲載されました。
小川ゼミの矢野泰雅さんが執筆された『Teachers’ mo...
私は2021年9月から2022年6月まで、キャンパスアジアプログラムという日中韓の3カ国で行われているダブルディグリープログラムで中国の復旦大学国際関係・公共事務学院に1年間留学しました。ここでは、私のダブルディグリープログラムでの経験についてご紹介させていただきます。
キャンパスアジアプログラムは、グローバル社会の多様なリスクに対応できる「リスクマネジメント専門家」を日中韓の3大学院の連携を通じて養成しています。2021年以降、その連携をASEAN諸国に拡大し、神戸大学大学院国際協力研究科(日本)、復旦大学国際関係・公共事務学院(中国)、高麗大学校国際大学院(韓国)の3大学院に、チュラロンコン大学(タイ)とラオス国立大学(ラオス)が加わりました。そして、キャンパスアジア・プラス・プログラムとして質の高い共同教育を展開するプログラムとなりました。
留学していた復旦大学で、所属していたのは、English-Taught Master Program in Chinese Government and Governance という英語教育プログラムでした。このプログラムに基づいて提供される講義は全て英語で行われます。国際関係・公共事務学院(SIRPA)では公共管理学修士または国際政治学修士のいずれかの学位を取得することができます。SIRPAは、様々な海外の大学院との提携のもと、世界中から異なる分野の優秀な学生が沢山集まってきていることが特徴です。授業は中国政治からEU研究、政治理論、国際関係論から公共管理学まで幅広く開講され、様々な分野で専門的な知識を身につけることができます。
復旦大学ではプログラム修了のための必須科目に加え、自分の専攻に応じて履修することのできる選択科目があります。私は前期に必須科目である、International Politics and Theories、Research Methods of Political Science、Chinese Public Administrationの3科目に加え、選択科目であるRisk Management in Development Process、Chinese Languageの2科目を履修しました。後期は必須科目であるContemporary Chinese Diplomacy、Political Development in Modern China、Chinese Society: Past and Presentの3科目に加え、選択科目であるChinese Languageの1科目を履修しました。これらの講義は全てオンラインでしたが、博士後期課程に在籍する優秀な学生たちも一緒に受講しているため、毎授業非常にハイレベルなディスカッションを交わすことができました。
修士論文については、2週間に1度のペースで指導教員にオンラインで指導していただきました。また、SIRPAの特徴としてコースワークよりも論文執筆に重点を置いたカリキュラム構成となっているため、修士論文提出までにProposal Defense、Pre-Defense、Blind Review、Final Defenseといった4度の論文審査を通過する必要があります。復旦大学の指導教員は多忙な中でも真摯かつ献身的に私の論文執筆に向き合ってくださったため、計画的に論文執筆を終えることができました。
留学期間中、私は新型コロナウイルスの影響で直接中国に行くことは出来ませんでした。しかしながら、上海のロックダウンの影響については、オンライン授業を通じてでも実感できました。ある授業では先生がコロナウイルスの簡易検査により授業が急遽中断するなどのハプニングもありました。また、後期の講義に関しては通常よりも1ヶ月早く切り上げる必要もあったことから、課題締め切りやプレゼンテーションなどが重なるという不安な日々もありました。実際に自分が上海に行っていたらどのようになっていたのだろうと想像しましたが、大変なことに直面していたのは間違いないと思います。
新型コロナウイルスの影響で全ての講義がオンラインになるのと同時に、学会発表やインターンシップの実施が加わるなど卒業要件の大幅な変更がありました。こうした状況下で1年以内に卒業に必要な単位の取得と修士論文を仕上げるのは、容易ではありませんでしたが、周囲の学生たちの努力に刺激を受けながら、研究者としての自分を成長させることができた留学であると実感しております。また、東アジアにおけるリスクマネジメントの研究報告などを各大学間で行う共同国際シンポジウムの開催やリスクマネジメント専門家を招聘し、コロナ禍問題を含め世界で起きている様々な課題についての議論を行う機会もあり、国際社会で活躍する上で必要な知識やスキルの修得もできました。
最後に、神戸大学での指導教官である小川啓一教授、復旦大学での指導教官であるZhang Ping教授、神戸大学、復旦大学双方のキャンパスアジア担当の先生方、支えて下さった皆様に感謝を申し上げます。
文責:石井雄大 (博士課程前期課程2年)