「世界的な水の危機: 水をよりよく管理するには?」(小西徹教授)

2024年6月27日に東京都立大学客員教授で元世界銀行シニア水資源エコノミストの小西徹教授を招聘し、「Global Water Crisis: How to manage water better?」という題目で世界の水資源をめぐる問題について講演を行っていただきました。小西教授はまず、世界全体の水資源のうち飲料水として使用可能なのは僅か4%しか存在しないことを指摘し、水資源に関する基本的な情報についてデータを示しながら解説されました。次に、水資源の問題と他の分野における開発問題との関係性について言及し、持続可能な開発目標(SDGs)達成のための喫緊の課題が水資源問題であることを強調されました。また、水資源に関する問題は分野横断的であり、経済学、工学、社会学、公共政策学などの複合的な観点から問題を捉えることの重要性を示唆した上で、パキスタンやラオスを事例とし、これらの国々が直面している洪水災害の現状や地域特有の問題について説明されました。

さらに、小西教授自身の実務経験に基づいて、水資源に関連する問題は、世界銀行のような国際開発機関では貧困層へのアクセスを確保しつつ国家間の水資源共有や地域経済への影響等鳥瞰的、長期的な視野が求められ、草の根活動をしているNGOなどの他のアクターとは異なることを指摘しました。講演後には参加者との活発な質疑応答が行われ、多岐にわたる学生の質問に対して、小西教授が豊富な知識と経験に基づきながら自身の見解を述べられました。世界全体で環境問題が深刻化する中、水資源問題が複数の国家間に共通する重要な課題であり、それらの問題を理解するためには分野横断的な知識や視点が必要であることを学ぶ貴重な勉強会となりました。

末筆ながら、本セミナーを開催してくださった小川啓一教授、そして学びの多い講演をしてくださった小西徹教授に心より感謝申し上げます。

文責: 小池拓実(博士前期課程)