開発運営政策セミナー 「韓国の教育開発協力―持続可能な開発目標(SDGs)の達成に焦点を当て―」
2019年4月24日に忠南大学校教育学研究科副教授の朴桓甫(...
2024年5月から6月にかけて、上智大学の梅宮直樹教授による集中講義が開講されました。梅宮教授は、独立行政法人国際協力機構(JICA)や世界銀行等での勤務を経て、現在は上智大学で教鞭をとられています。梅宮教授は、特に教育政策に焦点を当てた比較研究を行っておられます。
集中講義の前半は、開発途上国の社会経済発展を促進するための政府開発援助(ODA)の運営方針と実務について、特に日本のODAを中心に紹介してくださいました。開発途上国が直面する課題と持続可能な開発目標(SGDs)を概観した上で、日本のODAの歴史、政策、その特徴と実践について、具体的なプロジェクトの事例を交えて解説されました。後半では、実際にODAのプロジェクトの形成に用いられるプロジェクトマネジメント手法を学び、グループごとに開発途上国の教育課題を解決するプロジェクトの設計を行いました。
講義の中で、梅宮教授は多角的な視点を持ってプロジェクトに取り組むことの重要性を強調されました。ミクロ・マクロの両方の視点に立ち、受益者にとって本当に必要なプロジェクトは何かを、様々な事例を用いて解説していただきました。特に、プロジェクトや政策で見過ごされがちなミクロの視点について、SDGsの「Leave no one behind(誰一人取り残さない)」という理念に基づき、教育にアクセスできない5〜10%の人々の環境をいかに改善できるかを、経済、政治、政策、文化などの面から丁寧に説明されました。
本講義は35名以上が受講し、エジプト、カンボジア、フィリピン、ベトナム、バングラデシュ、ブラジル、フランス、中国、韓国、日本と様々な国籍の学生が集まりました。国によって教育システムや経済状況、文化、習慣が異なるため、講義には国境を超えた議論が飛び交いました。様々なバックグラウンドをもつ学生同士の学び合い、そして、国際協力に長年携わり、活躍されている経験豊富な先生のご指導は、国際協力に関するより深い理解と実践的なスキルの習得につながりました。将来プロジェクトを運営・評価する際にも必要な視点を得る良い機会となりました。
藤原真美(博士課程後期課程)