キャンパスアジア・プラス・プログラム 復旦大学 国際関係・公共事務学院での経験 (横川野彩)

私は、2023年8月から2024年6月までの約1年間、中国の復旦大学国際関係・公共事務学院にてキャンパスアジア・プラス・プログラムの一環であるダブルディグリープログラムに参加しました。以下、その報告をさせていただきます。

キャンパスアジア・プログラムは、文部科学省の「大学の世界展開力強化事業」の一つで、日中韓の大学による国際共同教育プログラムです。神戸大学では2011年度から、中国の復旦大学、韓国の高麗大学校と協働でコンソーシアムを立ち上げ、本プログラムを実施しています。これまで、ダブルディグリー、交換留学、短期研修等を通じてリスクマネジメントの専門家を育成してきました。2021年以降、タイのチュラロンコン大学とラオスのラオス国立大学が事業に加わり、キャンパスアジア・プラス・プログラムとして質の高い双方向交流を行うプログラムとなりました。

このようなプログラムのもと、私は、復旦大学(Fudan University)の国際関係・公共事務学院(School of International Relations and Public Affairs: SIRPA)にダブルディグリー生として在籍し、International Public Policy(IPP)の英語コースを専攻しました。SIRPAでは、公共管理学修士または国際政治学修士のいずれかの学位を取得することができます。私が専攻したIPPでは、学生自身の研究テーマに沿って、政策評価、政治理論、国際関係論などの分野を学ぶ環境が整っており、異なる専門的な知識を持つ学生と学び合うことができます。

コースワークについて、私は、秋学期に、Quantitative Research Methods、Qualitative Research Methodsを履修し、基礎的な研究方法について学びました。春学期は、Policy Analysis and Program Evaluation、Public Economics、Global Public Policyを履修し、実践的な政策評価の方法や最先端の国際関係論について学びました。これらに加えて、中国語の授業 (Chinese Language)や中国社会の構造について学ぶ授業 (Chinese Society: Past and Present)を履修し、中国文化について学びました。さらに、キャンパスアジア・プラス・プログラム参加大学の先生によって交代で講義が行われるRisk Management in development Processを履修し、アジアにおける最先端のリスクマネジメントに対する理解を深めることができました。

修士論文について、SIRPAでは論文執筆に重点が置かれており、論文提出までにProposal Defense、Pre-Defense、Blind Review、Final Defenseの4度の論文審査を通過する必要があります。復旦大学の指導教員は、多忙な中でも真摯かつ献身的に私の論文執筆に向き合ってくださり、定期的な面談や頻繁なメッセージのやり取りによって、計画的に論文執筆を終えることができました。

コースワークや論文執筆に加えて、SIRPAでは、様々な文化・学術交流に参加する機会に恵まれました。秋には、キャンパスアジア・プラス・プログラムに属する大学の先生と学生が集まり、復旦大学にて、キャンパスアジア・プラス・シンポジウムが行われました。また、秋と春には、北京大学でキャンパスアジア・プログラムに参加する学生と交流会が開かれました。さらに、SIRPAに所属する留学生を対象とし、中国国内の歴史的建造物や美術館をめぐる遠足なども開催されました。これらを通して、ネットワークの構築を行い、キャリア設計について考える貴重な時間を過ごすことができました。

末筆になりますが、神戸大学の指導教員である小川啓一教授、復旦大学での指導教員であるZhang Ping教授、神戸大学と復旦大学のキャンパスアジア・プラス・プログラム担当の先生方、私たちの留学生活を支えてくださった皆様に、この場をお借りして心より拝謝申し上げます。

文責:横川 野彩(博士課程前期課程2年)