島田健太郎氏からのメッセージ
島田 健太郎氏 Degree: 修士(経済学) Positi...
2025年8月から2026年6月まで、中国の復旦大学国際関係・公共事務学院にてキャンパスアジア・プラス・プログラムの一環であるダブルディグリープログラムに参加しました。
キャンパスアジア・プログラムは、文部科学省の「大学の世界展開力強化事業」の一つで、日中韓の大学による国際共同教育プログラムです。神戸大学では2011年度から、中国の復旦大学、韓国の高麗大学校と協働でコンソーシアムを立ち上げ、本プログラムを実施しています。これまで、ダブルディグリー、交換留学、短期研修等を通じてリスクマネジメントの専門家を育成してきました。2021年以降、タイのチュラロンコン大学とラオスのラオス国立大学が本プログラムに加わり、キャンパスアジア・プラス・プログラムとして質の高い双方向交流を行うプログラムとなりました。
このような枠組みのもと、私は、中国・上海の復旦大学国際関係・公共事務学院におけるInternational Public Policyプログラムに在籍し、公共管理学修士号を取得しました。留学中は、公共政策学や定量的研究手法をはじめとする政策評価に関連する科目を履修しました。復旦大学の高い専門性を有する研究者が在籍する環境の中で学ぶことにより、理論的な知識を深めるとともに、実践的な研究能力を高めることができました。また、多様な学術的・文化的背景を持つ教授や学生との議論を通じて、日本にとどまらない幅広い視点から公共政策上の課題を考えるようになりました。
本プログラムにおいて、最も困難でありながらも大きな学びにつながった経験の一つは、1年間という限られた期間の中で、集中的なコースワークと並行して修士論文を完成させたことです。復旦大学では、修士論文の審査がProposal Defense、Pre-Defense、Blind Review、Final Defenseという4段階で設けられています。各段階で教授方から頂いた詳細なコメントを踏まえ、研究内容を繰り返し修正します。私の研究では、ブラジルのバイーア州で実施されている遠隔教育プログラムEMITecが、高校生の学力テストの得点や進級率といった教育成果に与える影響を、定量的研究手法を用いて分析しました。コースワークに取り組みながら各審査の準備を進めるためには、限られた時間を適切に配分する力と粘り強さが求められましたが、1年間ですべての審査に合格した経験を通じて、自立して研究を遂行する力と、その学術的・社会的意義を明確に伝える力を高めることができました。
今回の留学で得たものは、学問的な成果だけではありません。上海で生活し、中国をはじめとするさまざまな国の人々と交流したことで、異なる文化や価値観、考え方への理解を深めることができました。また、国外から日本を見つめることにより、それまで自明だと考えていた自分自身の価値観や前提を改めて見直す機会にもなりました。特に、本プログラムを通じて、アジア各国の大学に所属する学生や研究者と、互いの研究、教育経験、文化的背景について意見を交わしたことは、国際理解について考え直す契機となりました。こうした経験を通じて、真の国際理解は単に海外で生活することによって得られるものではなく、自分とは異なる視点を持つ人々と継続的に向き合うことで深まっていくものだと実感しました。
末筆ながら、留学および研究活動を通じて継続的なご指導とご支援をくださった小川啓一教授、復旦大学での指導教員として修士論文の執筆に多大なるご助言をくださったLi Yin教授に、心より感謝申し上げます。また、上海での留学生活を支えてくださった復旦大学International OfficeのYufeiさんとDanさん、修士論文の執筆に関する貴重な助言に加え、リサーチ・インターンシップの機会を提供してくださった Danilo Dalmon博士にも、深く御礼申し上げます。さらに、このような貴重な機会を実現し、プログラムを通じて支援してくださった神戸大学キャンパスアジア室の米沢先生と八木先生、逢坂様、そして留学中、献身的に支えてくださった博士課程後期の先輩方に、心より感謝申し上げます。
文責:田中ひなた(博士課程前期課程)