東ティモール民主共和国教育省におけるインターンシップ報告(岡本 栄雄)
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2014年7月10日(木)、神戸大学大学院国際協力研究科棟1階大会議室にて、開発運営政策セミナー「高等教育の国際化に向けた多岐にわたる取り組み-何を支援し何を避けるべきか-」が、本研究科の主催で開催されました。本セミナーでは、講師として国際比較教育学分野の大変著名な研究者で、現在は米国インディアナ大学名誉教授であられるアーノブ・ロバート氏をお迎えしました。
セミナーでアーノブ氏は、個人、機関、国、グローバル等の各レベルにおいて様々な目的で行われている、高等教育国際化に向けた多様な取り組みについて共有されました。まず、アーノブ氏はそれぞれのレベルでとられているアプローチの典型的な性格について言及されました。例えば、機関レベルにおいては、より優秀な学生を獲得し大学のランキングを高めることを目的に、カリキュラムの国際化が行われている可能性があることを指摘。国レベルでは、時には経済的、外交的、軍事的目的を背景に高等教育国際化が促進されていることについても触れられました。
加えて、アーノブ氏はこうした取り組みが如何に多岐にわたるかを示すため、多くの事例を紹介されました。この中では、高等教育における国際プログラムが生涯にわたる深いレベルでの影響を個人に与える可能性を示す独特な事例として、1983年に中国で実施された海外交流プログラムに当時大学生として参加した米国人の回想を取り上げられました。また、インターネットの普及により海外からの家族との頻繁なやり取りが可能となったこと等、国際プログラムの影響力を弱めているいくつかの要因についても触れられました。最後には、日本政府が高等教育国際化に向け近年実施している取り組みを概観し、いくつかの注目すべき問題について提起されました。
続いて神戸大学特命教授の三橋紫氏と、米国ジョージ・ワシントン大学准教授のウィリアムス・ジェームス氏が討論者として、アーノブ氏の発表を受けたコメントをされました。この中で三橋氏は、日本の国立大学で国際交流プログラム促進に尽力されてきたご自身の経験に基づき、日本において機関レベルで行われている具体的取り組みやその問題点について語られました。ウィリアム氏もまた、米国の私立大学におけるご自身の経験に基づいて、アーノブ氏が取り上げたトピックに関する追加的な情報を共有されました。
多くの示唆に富んだ発表や続いて行われた討論者とのディスカッションを受け、質疑応答の時間には、日本人学生と留学生の両方を含む参加者から質問が相次ぎました。本セミナーは、第一線の専門家による視点を踏まえ、高等教育国際化に関する知見を深めるとともに、その課題と可能性について考えることができる貴重な機会となりました。
(文責:神戸大学国際協力研究科博士課程後期 坂上 勝基)
関連リンク
http://www.kobe-u.ac.jp/NEWS/event/2014_07_10_02.html
http://www.indiana.edu/~global/staff/facultyProfile.php?id=18
http://gsehd.gwu.edu/faculty/james-williams