小川ゼミの学生と小川啓一教授が共著した学術論文2本が比較教育学研究69号に掲載されました。

小川ゼミの修士課程2年の小池拓実さんと小川啓一教授が執筆された『Influence of Teacher Support and Classroom Discipline on Learning Achievement in Cambodia Secondary Schools: Focus on Students’ Socioeconomic Status』、同じく修士課程2年の横川野彩さんと小川啓一教授が執筆された『The Influence of Household Socioeconomic Status on Vocational Senior Higher School Choice in Indonesia』が比較教育学研究69号に掲載されました。

小池さんの論文では、教育の質に課題を抱えるカンボジア中等教育において、教室内環境の人的・社会的要素が生徒の学習達成に与える影響について分析しました。その結果、教師による生徒への心理的支援は、社会経済的背景の異なる生徒に対して、その影響の大きさが異なることを検証しました。本研究は、カンボジアにおける家庭環境の違いによる学力格差を緩和できる可能性のある教室内要素として、教師の心理的支援の重要性を提示しています。

横川さんの論文では、2007年頃からインドネシアにおいて職業高校が急増したことに着目し、それによって、異なる家庭経済状況にある生徒の学校選択がそれぞれどのような影響を受けたのかを明らかにしました。具体的には、職業高校増加時に家庭経済状況が恵まれている生徒の職業高校に進学する可能性が比較的高まることに加え、都市部のみに着目した場合、これまで高校進学をしていなかったと想定される家庭経済状況が恵まれていない生徒まで職業高校に進学する確率が高まることを検証しました。本研究は、インドネシアにおける普遍的な教育へのアクセス実現に対する職業教育拡大の可能性を示唆しています。

小池さんと横川さんは、神戸大学大学院国際協力研究科小川啓一研究室に修士の学生として所属する傍ら、本研究科のキャンパスアジア・プラス・プログラムに参加し、2024年6月に復旦大学国際関係・公共事務学院(中国)から公共管理学の修士号を取得しました。上記の学術論文はそれぞれの修士論文を基に執筆されています。

また、これまでの比較教育学研究には、66号に八木歩さんと小川啓一教授が共著された『Influence of Parents’ Educational Level on Children’s Access to Pre-primary Education in Uganda』、67号に宇野耕平さん、坂上勝基准教授、小川啓一教授が共著された『Determinants of Pre-primary School Attendance During Its Expansion in Bangladesh』も掲載されています。

文責:横川野彩(博士前期課程2年)