国連と持続可能な開発目標「バングラデッシュにおける国連と持続可能なスキルディベロプメントプログラム」(Jahangir Alam博士)

2022年1月23日、神戸大学大学院国際協力研究科の小川啓一教授による集中講義「国連とSDGs」にて、バングラデシュ ダッカ大学のJahangir Alam博士を招聘し、「バングラデッシュにおける国連と持続可能なスキルディベロプメントプログラム」を題目に講演していただきました。

Alam博士は、バングラデシュの教育セクターにおける重要課題として、教育サービスへのアクセスと各教育段階の修了率の低さ、社会や労働市場に直結する教育内容の不足、効果的で効率的な教育の質の低さ、そして、特に全てのレベルの教育機関においてのスキルディベロプメント向上の必要性を指摘されました。この21世紀社会においてスキルディベロプメントは、国内の健康的な社会の発展のみならず、個人の成功のためにも必要であると説明しました。具体的に、近年のグローバル化においては、スキルディベロプメントは雇用促進や労働市場の生産性向上、国の競争力を促し、社会や経済の構造変化、経済成長をもたらす重要な項目であると強調されました。

バングラデシュでは、これまでに国際労働機関(ILO)などの国際機関と共に持続可能な開発目標(SDGs)を含むスキルディベロプメントの発展に取り組んでおり、例えばILOと共に労働環境改善や技術向上と雇用促進、パートナーシップ向上、社会保障そして職場での権利保障制度の推進などがあります。それらはSDGsの解決すべき課題の優先事項でもあり、バングラデシュが持続的で経済的に発展するためには、人的開発は欠かせないものであり、これらの取り組みはディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)にも寄与することになります。しかしその反面、データ収集の限界やプライベートセクターの脆弱性といった弊害があり、課題も多く残されています。それらを解決するために、政府は労働市場のニーズ把握や現地産業の今後の持続的な発展のために国内外でのパートナーシップも重要だと述べられました。

Alam博士は、参加者に対して現地での様子をふまえながら説明してくださり、バングラデシュのスキルディベロプメントプログラムについての取り組みや直面している課題について理解を深める貴重な機会となりました。Jahangir Alam博士は神戸大学大学院国際協力研究科の小川啓一教授のもとで博士号を2020年に取得されました。現在は、ダッカ大学の准教授として活躍されています。また、2022年3月18日・19日に予定されている「the International hybrid conference on Post-COVID Japan: economy, political, society, culture and literature 」の開催に、主催者として取り組まれています。

文責:藤原真美(博士後期課程)