小川啓一教授がJICA関西で講演を行いました

2023年11月29日、JICA関西主催の国際協力セミナーに小川啓一教授が招聘され、「国際機関の教育援助開発」という題目で講演を行いました。

まず初めに、小川教授は2015年以前のEducation for all (EFA)やMillenium Development Goals (MDGs)からSustainable Development Goals (SDGs)に至ったこれまでの国際教育援助の潮流に加え、近年多くの開発途上国が抱える「学習の危機」という問題について言及しました。

次に、小川教授は教育分野における国際機関としてUNESCO、UNICEF、世界銀行を例に挙げ、それぞれが異なるアプローチで途上国の教育問題に取り組んでいることについて強調しました。UNESCOは途上国政府との対話を通じた教育政策の提言に関与しており、UNICEFは子どもの権利を守るという目標を掲げながら、途上国政府が関与できない現場レベルでの活動に取り組んでおります。世界銀行は融資機関としてだけでなく、Knowledge Bankとして研究開発を通じた知の創出、能力構築といった技術支援にも力を入れております。

最後に、小川教授は、今後開発途上国へどのような援助をしていくべきかなのかということについて、教育収益率分析による支援、教育と労働市場の分析による支援、教育プロジェクトの費用効果分析による支援、便益到達分析による支援を挙げ、限りある資源を効率良く公平に配分することが重要であると、教育経済学の視点から説明されました。

本講演には、多様なバックグラウンドを有する学生や社会人の方々に加え、世界銀行駐日特別代表の米山泰揚氏をはじめとする国際機関の第一線で活躍されている方々も積極的に参加し、質疑応答では活発な議論が交わされました。本講演は、国際機関を通じた開発援助に関心がある参加者にとって、開発途上国における教育の現状と課題について理解を深める貴重な機会となりました。

文責:末田椋資(博士前期課程1年)