カンボジアでの高度海外研究報告(藤原真美)

私は、2024年2月に博士論文で用いるデータや資料の収集を目的としてカンボジアでの高度海外研究を実施しました。私の博士論文では、カンボジアの高等教育選択にどのように家族が関与しているかを質的なアプローチから分析しています。オンライン調査やインタビューに加えて、現地の方々の様子や教育施設の状況を探るべく現地へ行きました。カンボジア滞在期間中は、カンボジアの青年スポーツ教育省(Ministry of Education, Youth and Sports (以下「MoEYS」) のHis Excellency Dr. Lim Sotheaにご協力いただき、データ収集を行いました。

調査地は、カンボジアの首都プノンペンとその近郊で、一次調査では高校生及び大学を対象にオンライン調査を実施しました。その後、二次調査としてオンライン調査の結果をもとにインタビュー調査を行いました。これに加えて、彼らの親を対象にインタビューを行いました。カンボジアの教育システムは午前、午後、夕方、平日コース、週末コースなど様々なシフトに分かれており、これらの日程を考慮しながら、調査スケジュールを組むことは容易なことではありませんでした。しかし、MoEYS職員の方だけではなく、高校や大学の教職員の方々に学校訪問日程の調整からインタビュー時のサポートをしていただいたおかげで、複数の高校と大学への訪問、40名以上のインタビュー調査を実施することができました。家族を対象にしたインタビューでは、個人的な経験や家族関係、カンボジアの文化的な内容を取り扱うため、参加者への配慮が必要な場面が多くありましたが、インタビュー同行者に適宜アドバイスを受けながら実施することができたため、期待していた以上の情報を手にいれることができました。

この現地調査では、これまでにあまり明らかにされていなかった高等教育選択に関わる親以外の家族の関与やそれらの親子間もしくは家族間の関係性を深く理解することができたとともに、書物などでは手に入れられない貴重な情報や資料を得ることができました。このような調査は、外部者である日本人の私が単独で行き、調査を依頼しても上手くいかないこともあります。しかし、私がこのような貴重な情報を得ることができたのは、小川啓一教授の事前アドバイスも関係しています。さらに、小川ゼミにはカンボジアからの留学生やフィールドワーク経験者が多く在籍しており、彼らに相談しながら事前にさまざまな準備ができたことも大きかったと思います。

末尾になりますが、カンボジアでのインターンシップを快く受け入れてくださった、His Excellency Dr. Lim Sothea, MoEYS職員の皆様、そしてこのような貴重な機会を提供してくださった小川啓一教授に改めて深く感謝申し上げます。また、MoEYS職員のRachanaさん、インタビュー等の調整等をしてくださったMlissさんやDaさんのサポートなく私一人でこの調査をすることはできませんでした。多大なるご尽力をいただきまして、心より御礼申し上げます。ご協力頂いた全ての皆様にこの場をお借りして感謝申し上げます。

文責 : 藤原真美(博士課程後期)