キャンパスアジア 復旦大学での経験 (石井雄大)
私は2021年9月から2022年6月まで、キャンパスアジアプ...
2024年7月1日(月)から24日(水)にわたり、世界銀行教育プラクティスマネージヤーとして活躍されているScherezad Joya Monami Latif博士を神戸大学大学院国際協力研究科にお招きしました。
Latif博士はコロンビア大学にて教育学博士号、ハーバード大学教育大学院にて教育学修士号を取得され、現在は世界銀行にて西アフリカと中央アフリカ地域を対象とした教育プロジェクトとプログラムの実施と統括をされています。また、アフガニスタン、パキスタン、モルドバ、ウクライナ、タジキスタン、ウズベキスタン、カザフスタン、ギニア、コンゴ民主共和国といった紛争と暴力の影響による脆弱性を抱える国々において、教育プロジェクトとプログラムの業務に従事され、豊富な現場経験を有しております。特にコンゴ民主共和国では、世界銀行最大の教育プロジェクトを含む、大規模な業務の指揮・管理を執られました。本研究科では、特別集中講義「Development Management (Education Cooperation) 」を開講していただき、プロジェクトの計画から実行を世界銀行がどのように実施しているのかを実践的に学ぶことに加え、世界銀行が行う教育分野のプロジェクトとプログラムについての知見を深める大変貴重な機会となりました。
本講義ではまず、プロジェクトを実施する上での教育開発の課題・問題点と最終目標を明確にするところから始まりました。世界銀行の視点からグローバルレベルでの教育協力に焦点を当て、開発マネジメントの課題と今後の方向性、基礎教育と教育の貧困、女子教育と女性のエンパワーメント、幼児教育、技術・職業教育、高等教育、教育行財政、教育と技術(EdTech)、政策プログラムへの変換、教育開発プログラムの計画と実行など、世界銀行が取り組む教育開発の様々なテーマについて、ゲストスピーカーのお話を交えながら理解を深めていきました。毎回異なるゲストスピーカーの方々が本講義に参加してくださり、実際にプロジェクトに携わるゲストスピーカーから話を伺い、直接質問をしたり意見交換したりできる大変貴重な機会となりました。授業終盤にはケーススタディとして教育面に問題を抱えている架空の国が提示され、今までの講義で学んだことを活かし、問題解決のためのプロジェクト計画提案する上でのグループワークに取り組み、最終講義にてグループプレゼンテーションを実施しました。
発表後にはLatif博士から各グループへフィードバックをいただき、世界銀行で働くの専門家の視点から改善点・不足点を学ぶことができました。本講義は、世界銀行における教育プロジェクトの内容の詳細と計画・実施のメカニズムを理解し、ケーススタディに取り組むことで理論と実践のギャップを知り、教育開発の課題を批判的かつ革新的に考える有益な機会となりました。
末筆ながら、ご多忙の中、大変貴重な集中講義を提供して下さったScherezad Joya Monami Latif博士、本講義の開講にご尽力いただきました小川啓一教授とLoleka Yungu Bernard博士(小川ゼミの卒業生であり現在は世界銀行にて教育エコノミストとしてご活躍されています)に深い感謝を申し上げます。
文責:渡部美代子(博士前期課程)