JSPS第1回セミナー「開発途上国における教育政策の展望」
2014年5月2日(金)、国際協力研究科棟1階大会議室にて、...
2024年8月から9月にかけて、株式会社パデコにおける独立行政法人国際開発機構(Japan International Cooperation Agency、以下「JICA」)インターンシッププログラムに参加しました。以下、その報告をさせていただきます。
私はJICAインターン(開発コンサルティング企業受入)として株式会社パデコに配属され、政府開発援助(Official Development Assistance、以下「ODA」)案件である「ラオス国初等教育における算数指導力強化プロジェクト」に携わりました。本ODA案件は、先行案件によって導入された新たな算数の教科書・指導書を活用するために継続的職能開発(Continuing Professional Development、以下「CPD」)制度の実施を支援し、現職教員の授業力を向上させることを目的としています。具体的には、初等教育における算数学習改善(Improving Teaching and Learning of Mathematics、以下「iTEAM」)というチームに加わり、インターンとして以下の業務に従事しました。
まず、CPD制度の実施支援として、教員養成校(Teacher Training College、以下「TTC」)の教官向けCPD研修やTTC附属小学校の現職教員向けICT研修、TTC附属小学校でのCPD活動計画策定、毎週行われるプロジェクトチーム内でのCPD、ICTオンライン会議に出席し、議事録の作成、写真撮影、およびJICAラオス事務所のFacebookに掲載する記事の作成を行いました。これらの経験を通じて、初等算数教育改善の担い手となる人々と関わる機会を得ることができました。また、群教育局や県教育局、TTC教官や現職の初等教員を巻き込みながら、学校レベルのCPD活動へと落とし込んでいくCPD制度の実施プロセスを理解することもできました。
次に、TTC教官向けCPD研修と現職教員向けICT研修の実施後には、スマートボードやタブレット端末などのICT導入後の教育現場の様子を把握するため、学校モニタリングを実施しました。TTC附属小学校・幼稚園を訪問し、算数授業の参与観察を行うとともに、教員へのインタビューを通じてそれぞれの教育現場における課題を調査し、その結果をプロジェクトチームに報告しました。これらの経験を通じて、幼児教育に対する国家予算の確保の難しさや幼稚園での留年の問題、小学生の読み書き能力における課題に気付くことができ、研究活動における先行研究レビューでは分からなかった新たな学びを得ることができました。
本インターンシップは、今後の研究活動とキャリア構築に対して大きな影響を与える有意義なものとなりました。特に、JICAラオス事務所での最終報告会において、一連のCPD制度の実施支援活動を踏まえ、本ODA案件の遂行上の課題と改善方法を提言し、教育政策アドバイザーやJICAラオス事務所の方々、配属先である株式会社パデコの方々から助言を頂けたことは大変貴重な経験になりました。同時に、開発コンサルタントという仕事の魅力についても気付くことができ、今後の進路選択のヒントを得ることができたと感じています。本インターンシップで得た経験、知見を今後の博士研究やキャリア形成に役立てていきたいと思います。
末筆になりますが、このような素晴らしい機会を下さったJICAの皆様、株式会社パデコの皆様、プロジェクトチームに温かく迎えて下さったiTEAMの皆様、最終報告会にてたくさんの貴重なアドバイスを下さった教育政策アドバイザーの長岡様、インターンシップの応募から参加に至るまでご支援いただいた小川啓一教授、そして学校モニタリングやインタビュー調査にご協力いただいた全ての方々に心より拝謝申し上げます。
文責:柴田菜摘(博士後期課程1年)