小川啓一教授の共編著書『社会性と情動の学習―SELと非認知スキルで未来を拓く教育』が東信堂から出版されました

このほど、小川啓一教授による共編著書『社会性と情動の学習―SELと非認知スキルで未来を拓く教育』が東信堂から出版されました。本書は、「社会情動性」「非認知能力」「生きる力」といった多義的な概念を、ハーバード大学、OECD、ユネスコ等の最新の知見を踏まえて整理し、個別のスキルがどのようにウェルビーイングに結びつき、ひいては社会の再構築へとつながり得るのかを、理論と実践の両面から提示しています。学術的知見と政策・実践を架橋し、これからの教育の基盤を構想するための一冊であり、教育行政官、研究者、教師など、すべての「教育の担い手」に向けた重要な示唆を提供しています。

本書の特徴は、概念の整理にとどまらず、それらが教育実践や政策の中でどのように位置づけられ、機能し得るのかを体系的に示している点にあります。多様な理論的枠組みを横断しながら、Social and Emotional Learning (SEL)を教育システム全体の中で捉え直す試みは、分野横断的な理解を促すとともに、実践への応用可能性を強く意識した構成となっています。

また、本書には多様なバックグラウンドを持つ専門家が参画している点も大きな特徴です。共編著者である水野谷優氏(ユネスコ・国際教育計画研究所技術協力部部長)および小原ベルファリゆり氏(経済協力開発機構(OECD)就学前・学校教育課長)は、本研究科の客員教授として共同研究指導や集中講義を担当されてきました。さらに、世界銀行シニアエコノミストの宮本晃司氏、国際協力機構(JICA)国際協力専門員の田中紳一郎氏、ホワイトシップ代表取締役社長・ELAB理事の長谷部貴美氏など、各界の実務家・研究者が分担執筆を担当し、多角的な視点からSELの意義と可能性を検討しています。

本研究科からも、坂上勝基准教授、王可心特命助教、八木歩特命助教、宇野耕平部局研究員、横川野彩さん(博士課程後期課程)、ならびに本研究科修了生の美並立人氏(東京大学研究員)が執筆に参加しています。さらに、第10・11章では、早稲田大学の黒田一雄教授、上智大学の梅宮直樹教授、東京大学の北村友人教授による対談が収録されており、SELをめぐる議論がより多面的に展開されています。

加えて、東京大学公共政策大学院の鈴木寛教授からは、「AI時代における人間性を育む学びを示唆する、日本と海外の知見の集大成」との推薦の言葉が寄せられています。本書は、教育の未来を構想する上で不可欠な視座を提示するものであり、SELをめぐる理論と実践を架橋する必読書といえるでしょう。

関連リンク:
東信堂
神大人の本
神戸大学国際協力研究科お知らせ
水野谷優先生のホームページ

文責:横川野彩(博士後期課程)